大阪大学医学部卒。外科医の傍ら、現在、ファルメディコ株式会社ハザマ薬局の代表取締役をしております。外…
大腸がん・直腸がん
更新日:2010年04月18日
食生活の西洋化の影響もあり増えつつある大腸がん。大腸と一口に言っても、上行・横行・下行結腸、S状結腸、直腸といくつかのパートに分かれています。直腸に次いで日本人にできやすいS状結腸のがんについて解説します。
下痢や便秘など、便通異常はよくあるもの。同様のS状結腸がんの初期症状には注意が必要です
毎日のお通じは快調ですか? 個人差はありますが、通常の食生活を送っていれば、1~2日に1回、黄褐色でバナナ状の便が排泄され、排泄後はすっきりするのが健康的な体の仕組みです。
その一方、便通異常も多くの方が経験しているでしょう。一番多いのが便秘。次にストレス性や食あたりでの下痢。それから痔のため便に少し血液が付いてしまうという人もいます。
近年増えつつある大腸がんも、便通異常は特徴的な症状の一つ。特に便通異常が症状としてでやすいのが「S状結腸がん(S字結腸がん)」です。S状結腸というのは聞き慣れない言葉かもしれませんが、大腸の中では直腸と並んでがんができやすい部位なのです。S状結腸がんについて解説しましょう。
S字をしたS状結腸は大腸の一部分。S状結腸を通過した便は、直腸に溜められ、肛門から排泄されます
S状結腸は、上行・横行・下行結腸に続く部位で、その名の通りアルファベットのS字のように屈曲・蛇行している臓器。私たちが食べたものは、胃・十二指腸・空腸・回腸を通って、どろどろの状態(便汁(べんじゅう)とも呼ばれます)で上行結腸に流れ込みます。この後、水分が腸管で吸収されて少しずつ固形化していきます。
下行結腸に入ると便としての形ができはじめ、S状結腸ではかなり便らしくなり、その後ろの直腸に溜まってくると便意を催すようになります。
大腸にがんができると腸管の内腔が狭くなりますが、上行結腸や横行結腸などでは便汁の状態のため、なかなか症状が出づらいことが多いです。一方、S状結腸の位置までくると便はかなり固形化しているため症状が出やすくなります。この部分にできるのがS状結腸がん。他の大腸がんと同様、やや男性に多く、50~70歳代に多く見られます。早期発見・早期治療で治癒率が格段にアップするのも特徴。その反面、直腸とともに肛門に近い部位であり、出血の症状が痔に類似しているため「痔の出血だろう」という自己判断で見過ごされやすいことが多いのが特徴です。
便に異常があったり、何か気になることがあったりする場合には、医師にご相談になることをお勧めします。女性の方も、最近は女性医師による女性外来も増えていますのでそういった場所を活用されると良いでしょう。
S状結腸がんの注意すべき症状は以下の通り。
■繰り返す下痢と便秘
もともと便秘気味という場合は別として、下痢と便秘を繰り返すようなケース。
■血便
便の表面に血液が付着していたり、便の中に血の塊が混じっていたりするようなケース
■便柱狭小
細い便しか出ていないようなケース。がんによる腸の内腔の狭小化に伴って見られる。
もちろん、これらの症状が出たからといって心配しすぎることはありません。下痢や便秘のほとんどは心配ないものですし、血便は痔や憩室炎といった良性疾患の可能性もあります。便柱狭小も毎回見られるのでなければ食事や体調の影響によるケースがほとんどです。
ただ、少しでも気になったときには、まず、お近くの医療機関を受診し、便の潜血反応のチェック(いわゆる検便検査)を受けることをお勧めします。便を取るだけの簡単な検査なので、あまり怖がらずに、まずは医師にご相談下さいね。