癌(がん)/がんの初期症状・早期発見

がんの早期発見・早期治療が大切なワケ(2ページ目)

どんな病気でもそうですが、とくに、がんについては、早期発見・早期治療が大切です。その理由は、がんの転移・再発が起こるメカニズムを考えるとよくわかります。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド


細胞が分をわきまえないと……

細胞が自分の分をわきまえないと
細胞は常に新陳代謝を繰り返していますが、分をわきまえずに増えていくのが、悪性の細胞が持つ性質です。
私達の体は約60兆個の細胞からなると考えられていますが、これらの細胞は常に新陳代謝を繰り返しており、つねに新しい細胞ができています。通常は、これらの新しくできた細胞は、自分がもともと持つ領域の中にのみ存在します。たとえば、胃粘膜の正常な細胞は、新しくできたときに、胃の粘膜の中でのみ存在するということです。

しかし、悪性の細胞は、このもともとの領域を「分をわきまえずに」あっさりと乗り越えていきます。

胃がんで言えば、胃の粘膜に発生したがん細胞は、粘膜を超えてどんどん深くまで浸潤していきますが、その過程でリンパ管や血管の壁にも、「分をわきまえずに」浸潤していきます。

リンパ管や血管の内面にがん細胞が到達すると、そこで、リンパ液や血液の流れに乗って、全身に流れていきます。そして、流れ着いたところで、再び血管の壁を乗り越えて浸潤し、胃とは全く異なる臓器に転移してしまいます。


やはり大切な早期発見と早期治療

早期発見と早期治療が大切
がんの転移のメカニズムがわかれば、早期発見と早期治療の重要性がわかってきます。
たとえば、胃がんで肝臓に転移巣が見つかったときには、胃にできたがん細胞が粘膜深くに浸潤し、血流にのって肝臓にたどりつき、そこで増殖して転移巣として見つかったということになります。このように、他臓器転移を来している場合には、一般に根治的な治療は難しくなります。

このようにならないためには、がんが血管壁に浸潤する前に、摘出してしまうことが必要になります。がんの治療について早期発見と早期治療が大切であるということは、このような転移・再発のメカニズムを知ることで、より深く理解できるようになると思います。

何らかの体の不調を感じられている場合はもちろんですが、特に症状がない場合にも、40代に入れば、年に1回の定期健康診断を受けて、早期発見できるような体制を作られることをおすすめします。


【関連リンク】
良性腫瘍と悪性腫瘍の違いをコンパクトに解説⇒良性腫瘍と悪性腫瘍の違いって?(All About がん・がん予防)

がんに対して、手術・抗がん剤・放射線はそれぞれどのような効き方をするのでしょうか?⇒がんはなぜ、転移する?3大療法のポイント(All About がん・がん予防)



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