癌(がん)/がんの3大療法・その他の最新療法

がんはなぜ、転移する?3大療法のポイント

がんの治療中に、医師にとっても患者さんにとっても一番の気がかりは、転移です。なぜ、元の場所とは違ったところにがんができるのでしょうか?その理由がわかればがん治療の考え方がわかります。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

がんが転移するのは、なぜ?

がんが転移する理由
がんの転移は、手品の様に、ぱっと起こるわけではありません。そこには、必ず物理的な繋がりがあります。
「肺がんが、脳に転移した」「大腸がんが、肝臓に転移した」など、がんについて、「転移」という言葉がよく出てきます。肺や大腸にあったがんが、急に脳や肝臓に飛んでいくわけではありません。これには、必ず、理由があります。

がん細胞は、分をわきまえない細胞というお話しをしました。がん細胞が、増殖していくときには、周囲にある血管やリンパ管の壁も食い破っていきます。

血管の中には血液が、リンパ管の中にはリンパ液が流れていますが、がん細胞が血管やリンパ管を食い破ると、血液やリンパ液の流れにそって、細胞がころころと流れていってしまいます。

この流れていった細胞が、肝臓や脳の血管を食い破り、そこで再び増殖してしまいます。これががんの転移の基本的な考え方です。


本当の初期には発見不可能? 転移が見つかる大きさ

がん転移が見つかる大きさ
がんが検査で見つかるためには、ある程度の大きさが必要です
がん細胞が、血管やリンパ管を食い破ったばかりの時。すなわち、たった一つのがん細胞が転移した時点では、どんなに詳しい検査をしても見つけることは不可能です。

最初は1個の転移した細胞が増殖し、直径1センチ、重さ1g、細胞の数にして約10億個になると、CTやレントゲン、超音波検査などで、「転移巣」として発見されるようになります。

逆に言うと、どんなに大きながん転移であっても、最初は、たった一つのがん細胞が、血中やリンパ液中を流れてきて、血管壁にくっつき、そこを食い破って顔を出すということから始まります。


次のページでは、がんのメカニズムから見た3大療法のポイントについてご説明します。
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