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退職後も住宅ローンは続く! 年金生活でローンが返済できない

長期にわたる住宅ローン返済。年金収入だけでローンが苦しくなった両親の返済を、子供が面倒みることはできるのか?3つのパターンで解決策をご紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

30年後の「自分」をイメージできていましたか?


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年金収入だけで住宅ローンを返済するのは楽ではないようだ。
返済期間30年で住宅ローンを組んだ場合、組み始めの年齢が

 30歳では完済年齢は60歳
 40歳では完済年齢は70歳
 50歳では完済年齢は80歳

※金融機関によっては完済年齢の関係で30年組めないこともあります。

となります。返済途中で期間短縮型の繰り上げ返済を行う、あるいは退職金で残債を一括できれば30年かけて返済することもなくなりますが、あくまで返済原資があっての話ですので、誰もが当てはまるわけではありません。「年金暮らしになっても困らないよう、住むところだけは確保しておきたい」と思い購入に踏み切ったマイホームが、逆に、老後生活を圧迫してしまう皮肉なケースが現実には存在し、親孝行の息子さんから、こうした相談が寄せられました。



 20年前に実父が、7000万円で都心に分譲マンションを購入しました。その父も一昨年に定年退職し、実母とともに年金暮らしになりましたが、ローンが約800万円残っており、返済に苦心している状態です。そこで私(息子)が返済を肩代わりしようと考えていますが、その際の注意点を教えて下さい。

 なお、私は両親と同居する予定はなく、現金で800万円を用意できるだけの貯金がすでにあります。


パターン1 800万円を息子さんがご自身の資金で全額銀行に返済し、その分の名義(持分)を息子さんが取得する


負担割合(800万円相当)に応じて持分を按分すれば、贈与税を心配する必要もありませんので、最もシンプルは対応方法といえます。ただし、ご両親とは同居しませんので「自己の居住用としての取得」には該当せず、不動産取得税や固定資産税の特例は一切、受けられません。



パターン2 息子さんが両親に800万円を貸し付け、銀行へは残額を一括繰り上げ返済してしまい、今度は両親が息子さんへ返済を行う


お子さんが親へ資金を貸与し、借りた資金で両親が一括返済する方法です。この場合、親子間に「資金の貸し借り」が発生しますので、返済期間や金利、返済方法などを盛り込んだ借用書を必ず作成しましょう。「催促なしの、あるとき払い」では困りますし、“贈与税対策”として毎月、銀行口座などを通じて息子さんへ返済している形跡を残すこともお忘れなく!「最初から返済する意思がないのではないか?」と思わせるような貸し借りは厳禁です。

また、マイホームの持分割合を変更する必要がありません(100%両親のまま)ので、その分の手間が省略されます。



パターン3 住宅ローンは一括返済せず、毎月の返済を息子さん自身が身銭で親に代わって行なう


文字通り、両親の返済を息子さんが肩代わりする方法です。ここで注意しないといけないのが贈与税で、このような資金提供は息子さんからご両親への贈与に該当します。

その際、贈与税には年間110万円までの基礎控除があり、肩代わり金額が1年間の合計で110万円に満たなければ基礎控除の範囲におさまるため、課税されることはありませんが、超えてしまった場合には、超過分(贈与額-110万円)に対して一定割合の税率(下表参照)で課税されることになります。

<贈与税の税率(速算表)>

基礎控除後の課税価格

それ以前に、せっかく800万円もの現金が手元にありながら、わざわざ金利を負担する(=ローン返済を継続する)のは得策といえませんので、パターン1あるいは2を優先させるべきでしょう。


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税  率速算控除額
200万円以下10%なし
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1000万円超50%225万円
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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