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介護保険法の解釈・運用の温度差(2ページ目)

介護保険制度は国が定めた制度。しかし、その法解釈、運用は、地域の実情に合わせられるよう、住民に近い立場にある保険者に委ねられているって知っていましたか? これについてのご意見も募集します。

執筆者:宮下 公美子

保険者の解釈、運用の温度差

5つの保険者(自治体)に問い合わせた結果は……。


■保険者A
利用者は事業所と契約しているので、担当以外のケアマネジャーがモニタリングに行ったからといって、即、減算ということはない。しかし、本来、担当のケアマネジャーが行くものであると考えているし、正当な理由なく、担当以外のケアマネジャーがモニタリングに行くことが頻回で、利用者や他の事業者からクレームがあれば調査し、必要に応じて指導する必要があると考える。

■保険者B
介護保険法の解釈通知などを見ると、ケアマネジャーには1ヵ月に1度以上、利用者宅を訪問すること、それを記録に残すことは定められている。また、実質的に固定のケアマネジャーが利用者を担当すると定められているように読み取れるが、それ以上の細かい規定はない。そのため、担当以外のケアマネジャーがモニタリングに行ったからと言って、減算になるとは考えていない。

■保険者C
担当ケアマネジャーが急病などにより、モニタリングに行けない場合、他のケアマネジャーが代わりにモニタリングに行ったからといって、減算になるということはない。しかし、おおむね3ヵ月程度以上、担当のケアマネジャーがモニタリングに行けない場合は、担当を変更するなどの対応が必要と考える。

■保険者D
モニタリングは誰が行ってもいいわけではない。事業者に「担当以外のケアマネジャーがモニタリングに行ってもいいですか」と聞かれれば、役所としては、当然「ダメ」と答える。これを受けて、自主的に減算して請求している事業者もいる。しかし、別のケアマネジャーがモニタリングに行ったからといって、こちらから減算にしたことはない。ただし、1ヵ月以上、病欠が続いているのに、新しいケアマネジャーを雇っていない場合などは減算になる。

■保険者E
特に規定はない。何ヶ月以上、担当のケアマネジャーがモニタリングに行けない場合は担当を変更すべき、等の指導も特にしていない。

「減算して請求している」と言っていたのは、保険者Dの事業所。自主規制で、減算にしていたようです。結局、担当以外がモニタリングに行かないからといって、即、減算するよう指導している保険者はありませんでしたが、介護保険法の解釈、運用の姿勢に保険者によって差があるように感じました。

介護保険法の解釈、運用については、少し前に、家族と同居している利用者に対して、訪問介護の生活援助サービスを提供できるかできないか、保険者によって解釈・運用が大きく異なっていたことが問題になりました。

これについては
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