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ソリューション・フォーカスアプローチに学ぶ 2 部下の「できる感」を高めよう

前回に引き続き、ソリューションフォーカスコンサルティング代表の青木安輝さんに、上司も部下も楽になる新しい考え方、ソリューション・フォーカス(解決志向)・アプローチについてお聴きしました。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


《CONTENTS》●「できているところ、うまくいっているところ」に焦点を当てる(1P目)●解決はすでに起きています(1P目)●「できる感」はどんどん高められる(2P目)●失敗プロジェクトが成功プロジェクトに(2P目)●大きな一歩より、「できる」小さな一歩(3P目)●あなたはすでにできています(3P目)

ソリューション・フォーカス(解決志向)アプローチの生みの親の一人であるインスー・キム・バーグ女史と青木安輝さん
前回記事・「問題ではなく解決に焦点を当てる」に引き続き、株式会社ソリューションフォーカスコンサルティング代表の青木安輝さんにソリューション・フォーカス(解決志向)アプローチについてお話をお聴きします。

「できているところ、うまくいっているところ」に焦点を当てる

――前回の最後に言われていましたが、解決志向アプローチでは、解決に焦点を当てる以外に、別のところにも焦点を当てるそうですね。ヒトのモチベーションを引き出すうえでとても重要だということですが、それは何でしょう?
青木:通常は目標と現状の差、つまり、「まだできていないところ」に焦点を当てますよね。ソリューション・フォーカスでは「すでにできているところ」に焦点を当てていくんです。下の図をご覧ください。

左側が解決構築(解決志向)、つまりソリューション・フォーカスの考え方です。一方、右側は従来型の問題解決(問題志向)の考え方です。

 


通常の問題解決アプローチでは、目標と現状の差に焦点が当たるので、現状に至るまでにやってきたことや、今うまくいっていることは忘れがちになります。これに対して、ソリューション・フォーカス(解決構築・解決志向)では、そこに焦点を当てて、承認していくのです。

――具体的にはどうやっていくのでしょう?
青木:例えば、ソリューション・フォーカスには「例外探しの質問」と呼ばれる質問があります。「うまくいかない」「できない」という人に対して、「うまくいっている」「できている」例外を探してもらうんです。

これはセラピーの例ですが、「子どもを叩いてしまう」という問題を抱えているお母さんがいました。「やめようと思うんですが、ついつい叩いてしまうんです。私はダメな母親です」と悩まれていました。このお母さんに例外探しの質問を投げかけました。

「お子さんをいつもなら叩いてしまう状況なのに、叩かなかったことはありましたか?」

解決はすでに起きています

青木:そうすると、叩かなかったときがたいていの場合見つかります。そして、そのときの状況をよく聴いていくんです。そこに解決のヒントが眠っています。問題に焦点が当たっているとなかなか見えませんが、実は解決は既に起きています。「例外」はすでに存在している解決なんです。

――なるほど、将来の解決した状態に焦点を当てるだけでなく、現在すでにある解決した状態にも焦点を当てるわけですね。このほうが、問題に焦点を当てるよりも元気が出てきますね。
青木:そうなんです。そこがとても大事なところです。目標を達成するためには人が行動することが必要です。そして人が行動するために欠かせないのがモチベーション。

問題に焦点を当てて、「できないところ」を話すより、「できているところ」を話すほうがモチベーションが上がります。いくら何が正しいという話をして説得しても、実際にやる人のモチベーションが下がっては、あまり意味はありません。

――これなら、やる気のない部下のやる気も引き出せますね。
青木:私は「やる気」というより、「できる感」を引き出すととらえています。誤解されていますが、「やる気」はほとんどの人にあります。「やりたい」という意欲を持っていない人はいません。必要なのは「できる」という感覚なんです。「できる」と思えれば、勝手に行動していきますよ。だからこそ、すでにできていることに焦点を当てることが大事なんです。

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