不動産売買の法制度

更新日:2008年03月17日

犯罪収益移転防止法と不動産取引

2008年3月1日に施行された犯罪収益移転防止法は、これから住宅を売買しようとするすべての人に適用されます。いったいどのような内容なのか、どのような手続きが必要なのか、よく理解しておきましょう。


〔あなたも、もれなく対象に!〕

不動産屋の店頭に貼られたポスターなどをみて、すでにご存知のかたも多いと思いますが、今月 (2008年3月) 1日に犯罪収益移転防止法 (犯罪による収益の移転防止に関する法律:平成19年3月31日法律第22号) が施行されました。

これから住宅を買う人、あるいは売る人、ほぼすべての人が該当する法律ですから、あらかじめよく理解しておくようにしてください。


犯罪収益移転防止法とは?

闇取引
犯罪性のある資金による不動産取引そのものが監視対象に。
マネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止を目的として、一定の取引を行なう際の本人確認を義務付けるものです。すでに昨年1月4日以降、金融機関では10万円を超える現金送金などの際に窓口での本人確認が義務付けられていましたが、これが不動産取引などにも拡大されたと考えれば分かりやすいでしょう。

ただし、法律上は従来の 「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」 が廃止され、3月1日からは金融機関も 「犯罪収益移転防止法」 に基づく対応となっています。


犯罪収益移転防止法による本人確認の対象は?

犯罪収益移転防止法が適用される事業者は、金融機関等、宅地建物取引業者、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者 (私設私書箱) 、電話受付代行業者 (電話秘書) 、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁護士となっていますが、これらの事業者が関与するすべての取引が対象ではなく、それぞれ一定の取引において本人確認が必要とされています。

不動産取引の場合に宅地建物取引業者が本人確認をしなければならない相手は、売買契約のときの売主と買主。したがって、マンションや一戸建て住宅、土地の売買をするのであれば、それを売ろうとする人も買おうとする人もほぼ例外なく、事前に本人確認書類を提示しなければなりません。なお、賃貸借契約における貸主と借主は対象外です。

不動産取引ではこれまでも売却依頼 (媒介契約) の時点、あるいは売買契約締結の時点で宅地建物取引業者が “売主” の確認をしていましたが、必ずしも徹底されたものではありませんでした。また、司法書士による売主の本人確認は比較的しっかりと行なわれていたものの、これは一連の取引の最後の段階 (決済時) です。買主については (住宅ローン申し込みに伴う金融機関の面接時などを除き) 十分な確認が行なわれないケースも多かったでしょう。

しかし、これからは “売買契約締結前の時点で” 売主と買主のどちらであっても本人確認が必要となるわけです。どちらかが代理人を立てて契約をするのであればその代理人、どちらかが法人であればその取引担当者についての本人確認も必要です。

また、本人確認について特段の例外規定はありませんから、たとえ売買当事者が宅地建物取引業者の身内であっても、犯罪には200%関係なさそうな人であっても、誰もが知っているような有名人であっても、本人確認書類を提示しなければならないことに変わりはありません。

なお、宅地建物取引業者が介在せずに個人同士で不動産の売買をするのであれば、犯罪収益移転防止法による本人確認の義務を課せられた者が存在しませんから、契約締結自体は自由にできます。しかし、所有権移転登記申請などを司法書士に依頼すれば、司法書士が売主と買主の本人確認を行なうことになります。


本人確認の必要書類と注意するポイント・・・次ページへ



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平野 雅之

不動産取引実務に精通する専門家が、不動産売買で失敗しないノウハウを分かりやすくアドバイスします。

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