不動産売買の法制度

更新日:2008年03月17日

犯罪収益移転防止法と不動産取引

2008年3月1日に施行された犯罪収益移転防止法は、これから住宅を売買しようとするすべての人に適用されます。いったいどのような内容なのか、どのような手続きが必要なのか、よく理解しておきましょう。


本人確認の方法は?

本人確認といってもとくに難しい手順があるわけではなく、個人であれば通常は運転免許証、健康保険証など一定の本人確認書類を提示するだけで済みます。これらがない場合には、住民票などを提示したうえで、その住所宛に取引関係文書が “転送不要の書留郵便” などで送られてくることになりますから、余分な手間と時間がかかってしまいます。

本人確認書類に記載された住所と現在の住居とが異なる場合には、それを証明する書類も必要となりますから少し面倒なことになります。このような人がこれから住宅など不動産の売買契約をしようとするときには、あらかじめ住所変更の手続きを済ませておくようにするべきでしょう。

本人確認に必要な書類 (次のうちいずれか)
個人の場合
運転免許証
旅券 (パスポート)
住民基本台帳カード (写真付、氏名・住所・生年月日の記載のあるもの)
健康保険証
国民年金手帳、母子健康手帳、児童扶養手当証書など
外国人登録証明書
その他官公庁から発行された書類などで、顔写真があり、氏名・住所・生年月日の記載があるもの
法人の場合
登記事項証明書
印鑑登録証明書 (名称、本店または主たる事務所の所在地の記載があるもの)
その他官公庁から発行された書類などで、名称、本店または主たる事務所の所在地の記載があるもの
上記のいずれかの書類のほか、取引担当者個人の本人確認書類 (個人の場合と同じ) および取引担当者の当該法人における役職、所属部署などが分かるもの (名刺など) が必要です。
代理人の場合
委任状 (本人の署名、実印による押印) および本人の印鑑登録証明書
上記のほか、代理人の本人確認書類 (個人の場合と同じ) が必要です。また、売主または買主本人についての確認が終わっていない場合には、売主または買主の本人確認書類 (原本またはコピー) も必要です。

また、売主または買主が共有名義で複数となる場合には、その全員について本人確認が必要となります。とくに相続などで取得した物件の共有者が遠方に住んでいるようなケースの売主は注意しなければなりません。

なお、宅地建物取引業者による本人確認を拒めば売買契約を締結することができないほか、本人特定事項を偽った場合には偽った本人 (売主、買主など) が罰せられることになります。これをお読みのみなさんが該当することはないでしょうけどね。


本人確認書類はどう扱われる?

提示した本人確認書類の正確な記録を残すため、たいていの宅地建物取引業者はそのコピーをとることになるでしょう。ただし、コピーをとること自体は必須ではないため、どうしてもコピーをとられたら困るような事情があれば、事前に申し出るようにしてください。しかし、その場合でも氏名、住所、生年月日、免許証であればその番号などを記録することは拒めません。

また、代理人の場合の委任状や印鑑登録証明書などは宅地建物取引業者がそのままお預かりし、原則として本人へは返却しないことになります。

なお、宅地建物取引業者は本人確認に関する記録書類を作成し、7年間保存することが法律で義務付けられています。


疑わしい取引の場合には?

売主と買主の本人確認を行なったうえで締結した売買契約に疑わしいところがあれば、宅地建物取引業者はその旨を行政庁に届け出なければならないことになっています。

どのような場合が疑わしいとされるのかはケースバイケースですが、たとえば年収400万円の会社員や公務員が2億円の住宅を現金で購入したり、独身者がとくに事情もなく5LDKのマンションを買ったり、あるいはどんな世帯であれ合理的な理由もなく数か月ごとに住宅を買い替えたりすれば、何らかの不自然さは感じられますね。宝くじで高額当選金を受け取ったような場合には、その証拠を残しておくことも考えるべきでしょう。

また、 「顧客の住所と異なる連絡先に関係書類の送付を希望している」 というのも疑わしい取引の参考事例 (不動産業界内の文書) として挙げられています。自分の住まいではなく婚約者の自宅に書類を送ってもらいたい場合、独身者が家族に内緒で住宅を買おうとして会社に書類を送ってもらいたい場合、あるいは住所地とは別の住まいがある場合などは、あらぬ疑いをかけられる原因ともなりかねません。特別な事情があるのなら、営業担当者と十分に意思の疎通をはかっておくことも必要です。

一般的な住宅を通常の段取りで購入するかぎり、たいていの人は何ら問題がありません。

なお、何らかの疑いが認められ、宅地建物取引業者がその届出をしたとき (あるいはその届出をしようとするとき) 、取引の当事者やその関係者にそれを 「漏らしてはならない」 ということも法律に定められています。だからといって、ほとんどの人には 「届出をされたんじゃないか」 などと心配する必要もありませんけどね。



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平野 雅之

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