セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイシーン

拍手喝采!東京国際L&G映画祭レポート(3ページ目)

7月9日~19日、新宿バルト9と青山スパイラルホールで東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が開催されました。充実した2週間をプレゼントしてくれた映画祭の総まとめ的レポートをお送りします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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映画祭最終日(海の日)


メディアでも話題になっていた中国のゲイ映画『スプリングフィーバー』が上映され、主演イケメン男優2人が来場し、今回の映画祭の白眉といった雰囲気を醸し出していました。『スプリングフィーバー』は今年11月に渋谷シネマライズ他で公開予定ですので、また改めて詳しくご紹介したいと思います。(Q&Aセッションの模様はこちら

「レインボーリール・コンペティション」は、ストレートの方がセクシュアルマイノリティへのあたたかな視線で撮った作品がとても多く、中でも、ゲイ(トランスジェンダー?)の男の子とその友達の男の子、2人の間の友情のような愛のような心の揺れ動きをとてもかわいらしく表現した「くらげくん」が観客のハートをわしづかみにし、優勝しました。(「くらげくん」はぴあフィルムフェスティバルでも上映されていました)
それはそれで素晴らしく、こんな映画をたくさんの人に観てほしいなあと思うのですが、レズビアン&ゲイ映画祭としてはもう少しゲイやレズビアン自身のリアリティを表現した作品があったら…と思った方は多いはず。映像製作のハードルが下がり、誰もが映画を作れる時代でもありますし、ぜひ来年は、みなさんも応募してみてください! 映画祭20周年の優勝者はあなたかもしれません!

『波に流れて』は、ちょっと突飛な部分もありつつ、最後には号泣させられました。『ブロークバックマウンテン』の続編、兄弟のような作品だと思いました。世界のどこかで今も『ブロークバックマウンテン』がリアリティを持っているということ。(人類に普遍な)死者を畏れ敬う気持ちや、小さな村の共同体だからこそのあたたかい絆が、異質なものへの嫌悪を乗り越えていく過程の感動。美しい自然のなかで人間の存在はちっぽけなものだけど、その中に息づく思いは、決して波に流れていくのではなく、かけがえのない輝きを持っているということ。どこか神話的でもあり、シンプルに見えて豊かな作品でした。日本でも一般公開されることを強く希望します。

『波に流れて』の上映後、感動的な雰囲気のなかで、クロージングセレモニーが行われました。映画祭代表の宮沢さんがちょっと感極まって目を潤ませるシーンもあり、満場の大きな拍手が贈られ、本当にあたたかく、素晴らしいコミュニティイベントだと感じました。

映画祭2weeksを振り返って


今年は全部で9プログラムを観たのですが、どれも本当に素晴らしかったです。これぞゲイテイスト!とか、ゲラゲラ笑える!とか、観た方それぞれにいろんな感想があると思いますが、少なからずゲイとしての自分の人生に影響を与えてくれるような作品だったりとか、いろんなことを考えさせる作品だったりとかもして、本当に観てよかったと思いました。
『シングルマン』など、世界的に話題になっている良質な作品を集めてきてくれるスタッフの方の熱意に大きな拍手を贈りたい、心から感謝したい気持ちです。

映画祭が一度も休むことなく19年も続いてきたというのはは、本当にスゴいことです。ゲイシーンでそんなに長く続いているコミュニティイベントは他にありません(その次が今年で14回目を迎えるレインボーマーチ札幌です)。ゲイシーンだけでなく、世間一般でもなかなかないことですよね(美里さんの西武球場ライブが20年。あとは『放浪記』くらいでしょうか)
 
映画祭は、初め、川口隆夫さんという方が代表を務めていて、10回目くらいで若い女性の方が代表になり、そのあと宮沢さんに交代して、ずっとここまで来ています。たぶんですが、宮沢さんの人柄によるところも大きいのかな?と思います。誰も責めたりしないような、ほんわかとしたキャラクター、超然とした感じ、それでいて、何かあったら自分が責任を取るという男らしさ。(こちらに代表の宮沢さんへのインタビューが載っています)

来年は20周年。きっとさらに盛り上がることと思います。今から楽しみです!
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