PR
ウイスキー&バー/ウイスキーが「分かる」人の飲み方

長期熟成したウイスキーほど旨いのか?

最近また「長く寝かせたウイスキーほど旨いんでしょ?」といった質問をされることが多くなった。それだけウイスキーを幅広く飲んでくださっているということだろう。質問にお答えしよう。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

PR

熟成にはピークがある

原酒サンプル
ブレンダーは一樽ずつ集められた原酒サンプルをチェックする(撮影/川田雅宏)
よく「長期熟成したウイスキーほど旨いのか?」と質問される。多くの人の口調には「長く寝かせたものほど、旨いってことでしょ」といったニュアンスがある。かつて同じような内容を語ったことがあるが、再確認しておきたい。

旨いっていう基準には個人差があり、また見方というか味わい方で旨味の基準は変わってくる。同じ旨いでも、少量で十分であり、杯を重ねるにはしつこいってのもあれば、毎日飽きない旨さもある。
ウイスキーに関していえば、貯蔵熟成期間に比例して熟成進度は増し、味わいはまろやかになり深みもでてくる。ただ熟成にはピークがあり、それを過ぎれば少しずつまろやかさや深みは失われていく、というか損なわれていく。香味バランスが崩れていくのだ。
かつて酒齢を人間にたとえて語ったことがあるが、若くてキックの利いたしなやかな味わい、年月を経た円熟味、老いてリッチな伸びはないものの枯れた味わいと、それなりに面白味、旨味は異なる。悪くいえば、若さは荒々しさになるし、老いはしなびた精気のなさを感じさせる。

一般的にみれば、12年が分岐点となるだろう。ブレンダーは6年、10年、12年といったふうに一樽一樽の原酒をチェックしながらピークを見極める。それは原酒のつくり込みや樽材や樽の大きさ、貯蔵庫の環境、新樽か何回目の使用かなどいろんな条件が作用して熟成のピークは一様でないからだ。12年を目安にまだまだ熟成が進む樽の原酒を見極め、18年、25年、30年ものといった長期熟成製品が生まれる。
ただそれらは、ブレンダーだけでなく貯蔵を見守る庫人(くらびと)たちの厳しい管理があってのことで、超長期熟成原酒というのはつくり込んだ原酒の数%の世界であり、まったくもって稀少なものである。

つまりウイスキーの品質や旨さに関して、長く寝かせればいい、ってことはなかなか言いづらい。10年でピークを迎えるものもあれば、12年、15年が盛りのものもある。
かつてわたしはザ・マッカランの12年より10年の若さのほうを好んだ時期がある。ちょっとカツンとくるほうがおいしく感じたのだ。あるいは12年を飲み過ぎて、飽きてしまっていたともいえるだろう。そのうち10年からも遠ざかってしまった時期もあった。赤ワインを飲み過ぎていて、タンニンをぐぐっと感じる味わいを敬遠していたのかもしれない。
旨さの感じ方ってのは一様じゃないんだな。

関連記事

初心者にすすめる一瓶。第一回 グレーンはダシ、モルトは味噌
初心者にすすめる一瓶。第二回 ダシの前に、もう一度酒齢の話
ウイスキーの賞味期限を知ってるかい?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

All About注目リンク

PR

ウイスキー&バー 人気記事ランキング

2024/12/24 更新
ランキング一覧
  1. 1モルトウイスキー サウンドギャラリー 白州の森に、UAの歌声が響く
  2. 2ウイスキー・ソーダとハイボールの違い
  3. 3ジムビームカクテル簡単ジュース割り家飲みレシピ
  4. 4ハイボール考察/ウイスキーとソーダの比率
  5. 5サントリーオールド、冬はホットウイスキーのススメ
協力:サントリー

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます