和菓子/上生菓子

シンプルな美を追求「ちもと」(都立大学)(2ページ目)

シンプル美を追求する「御菓子所ちもと」。名物「八雲もち」をはじめコクとキレのある菓子は無垢な素材が映える店内で楽しむもよし、持ち帰って楽しむもよし。カロリーの気になるこの時期こそ和菓子を!

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

シンプルな美しさが映える「季節の上生菓子」

ちもとの上生菓子
上「万寿菊」「桔梗」
真中「初かり」
下「菊の花」「織部饅頭」
各242円
「他の店が華やかさを目指す中、うちが目指すのは逆方向のシンプルさ。それがかえって目立つ結果になっているのが面白い。」とご主人。写真の秋の上生菓子も、シンプルなものが中心です。
「万寿菊」と「桔梗」は練切(注1)。「初かり」は求肥(注2)。「菊の花」はきんとん(注3)。「織部饅頭」は織部焼をデザインした薯蕷饅頭(注4)。

華やかな形にしたり、装飾を多くしたりすればごまかしがきく。それが嫌なので極力装飾を省いた菓子作りをする。そのご主人の手による上生菓子は、どれも心に染みるような味わいです。

(注1)「煉切」主に漉し餡に求肥や寒梅粉を加えて煉り上げ形作るもの。
(注2)「求肥」白玉粉、水飴などを煉り上げた柔らかな餅菓子。
(注3)「きんとん」餡玉の周囲にそぼろ状の餡をつけたもの。
(注4)「薯蕷饅頭」薯蕷(じょうよ)芋から作る真白な饅頭。



発送、イートイン、お持ち帰り。楽しみ方も多種多様

ちもと内観
ご主人が慕う建築家の手による店内。
大きな石と厚いガラスで「無垢(むく)」を表現
席数は10席ほどと少なめですが、大きなテーブルが配置された喫茶スペースで、くつろぐこともできます。出来立てが何より美味しい上生菓子を、美味しいお茶と共にいただく至福の時間。夏季限定のカキ氷は店の外まで列ができるほどの人気ぶりです。

名物の八雲もちや最中、羊羹など一部の商品は発送も可能なので、お店でお菓子を堪能したあとに相談してみてください。(生菓子は日持ちがせず崩れやすいので発送は不可。)



ちもとの「草だんご」
「草だんご」(1個137円)
コクとキレのある餡で包まれた懐かしいよもぎだんご!
ところで、ちもとの菓子をさらに印象深いものにしているのは「コクとキレのある餡(あん)」です。ちもとでは餡を炊く際に渋きりはせず、小豆を鍋に入れて水を張って火を付け、途中水を足して煮上げていきます。炊き上がった後、流水で水がきれいになるまでよく晒すことで、小豆のコクをしっかりと閉じ込めつつ、アクのない餡が出来上がります。

上生菓子はもちろん、写真の「草だんご」の周りをたっぷり覆っているのも、この餡。昔ながらの乾燥ヨモギを使った草だんごは、ちもとの隠れた名物です。「先代の味をそのまま守りたいから。」昔からの味を求めてやってくるお客様のため「変わらない」味を守るのも役目の一つ。




<店データ>
■御菓子所ちもと
所在地:東京都目黒区八雲1-4-6
TEL:03-3718-4643
営業時間:10:00~19:00
定休日:木曜日
東急東横線 都立大学駅より徒歩約3分
地図:Yahoo!地図情報
予算:八雲もち158円、上生菓子各242円、草団子137円(全て税込)

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