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お茶の味わいを表現する2(2ページ目)

前回はお茶の味わいを表現するポイントについて見てみました。今回はさらに突っ込んだ表現を学びましょう。

執筆者:平田 公一

ワインの味わいの表現に学ぶ


香り同様ワインの味の表現は参考になります

ワインの表現は比較的ストレートです。例えばソムリエが利用するテイスティング用語選択用紙には「シャープなアタック」、「攻撃的なアタック」、「やや甘口の」、「若々しい酸味」、「豊かな渋み」、「収斂性のある」、「こくのある」、「切れの良い後味」、「苦味が強い」、「バランスの悪い」、「枯れた味わい」、「熟成した味わい」、「複雑な」、「痩せた」といった語彙が並んでいます。

これらは、香りの表現のときにくらべると比喩的な語彙が少なく、「味の語彙」が多く見受けられるのが特徴です。まずは、ワインそのものの持つ味を「味の語彙」で表現することがソムリエとしての役割ですが、さらにそこに、ソムリエ自身がどのように感じるかを「味覚の語彙」を加味して表現することになるのです。

さて、ワインの良し悪しを判断するテイスティングの場合、味については、非常に高い採点が行われる。通常香りに6点満点、味には8点満点が付されます。その際に評価の対象になるのが、次の事項です。

甘さ      (1ー5){5は糖度が高い}
タンニンの渋み (1ー5){5は渋みが強 い}
酸味      (1ー5){5は強い酸味}
コク      (1ー5){5は非常にコクがある}
後味の長さ   (1ー5){5は長く残る後味}
味のバランス  (1ー5){5は完璧なバランス}

これらを評価しながら、どのように味を表現するか、ワインのテイスティングもとても面白い行為です。もちろん、中国茶の場合は、ワインとは原料がまったくちがいますので、そのままダイレクトに使用することは出きませんが、それでも、タンニン(ポリフェノール)、甘さ、後味の長さ、味のバランスなどを考慮した配点と言うのは、に多様な部分があるのではないでしょうか?

味・味覚を表現する際の留意点

さて、ワインを参考に、味た味覚の表現の仕方を見てきましたが、これら味、味覚を表現する場合の語彙に関する注意点を掲げておきます。

味や味覚を表現する語彙は、先にみた香りの語彙なども相当利用できます。ただし、香りの語彙の場合は、味覚の語彙として利用されるものが多いことに留意が必要です。

例えば「なめらか味わい」あるいは「透明感のある味わい」というのは、それを評したものが滑らかとか透明感があると認識した上で表現されたものですから、これはそのものの持つ味の性格を表現しているわけではないということになります。

もちろん「刺激的」や「凝縮した」という言葉は「茶の属性」を表す語彙でもありますから、これは「味の表現」であるともいえますが、一般的には感覚的表現出すので、やはり味覚の表現として利用差れる場合が圧倒的に多いのです。このように、味、味覚を表現する場合、その目的などを考えながら、意識しつつ「味の語彙」と「味覚の語彙」を区分けして利用してみることが大切なのです。

もっとも、茶の品質などを生産者、茶商、研究者の立場から品評するのでなければ、「味の語彙」と「味覚の語彙」を両方駆使して、自分がそのお茶をどのように感じたのかを表現することがよいのだと思います。

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