企業のIT活用/システム導入事例

正確な勤怠管理が経営戦略を生み出す

勤怠管理をしっかり行い社員ごとの労働時間を把握することで、原価計算やABC分析の基礎資料を得ることができます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

企業の経営資源と言えば人・物・金・情報ですが、特に重要なのが人材です。

社員にしっかり働いてもらい、付加価値をあげてもらわなければ企業は存続しません。もちろん社員は働いた分を給与の形で受け取ります。会社は1ケ月間の勤務状況を正確に把握し、労働時間を計算しなければ給与計算できません。これが勤怠管理です。勤務管理、就業管理とも言います。

労働時間は原価計算やABC分析の基礎となる

労働時間を把握し、直接労務費を計算する

労働時間を把握し、直接労務費を計算する

労働時間は第一義的には給与計算に使いますが、他にも原価計算の基礎データとなります。モノやサービスの製造部門に関わる社員の給与を集計すれば直接労務費を計算することができます。

難しいのが製造間接費。単純なケースでは、営業部や総務部など間接部門の労務費を配賦基準に従って配賦します。これで製品の労務費に関わる原価計算ができますが、作っている製品やサービスが複数ある場合はどうしたらいいでしょうか。

製造ライン別に従事する人が決まっているのであれば、製造ラインに属する社員の給与を集計することで直接労務費を計算できます。ところがある日は製品Aを別の日は製品Bを作る場合は、日ごとに管理しなければなりません。同じ日にある時間帯は製品A、ある時間帯は製品Bなら時間帯別の管理が必要です。

より細かく分析するときはABC分析という手法を用います。ABC分析とはActivity Based Costingの略で、活動基準原価計算と言います。製品やサ―ビスを提供するのに必要な活動を詳細に分割。個々の活動で必要なコストを算出し、原価計算を行います。製品単位に正確な把握をしようと思えば、日報ベースで行った作業を管理しなければなりません。営業マンが9時~12時に製品Aを売り込むための資料作りをした場合は、製品Aの間接費になります。

正確な原価計算を行うことで精度の高い経営戦略を構築できますが、そのためには各社員が1日の作業内容をパソコンで緻密に入力し集計する必要があります。コストがかかる作業ですので、どの範囲まで管理を行うかはそれぞれの会社で判断しなければなりません。

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