年の途中で退職し再就職をしなかった給与所得者の場合、確定申告をすると給与から源泉徴収されていた所得税が還付される可能性があることは広く知られています。では退職金は?
退職金の場合、一般に退職金を受け取る時点で「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、退職金に対する所得税と住民税が退職金から源泉徴収され税金関係は終了しますので、確定申告は不要(=無意味)と考えている人が大多数です。
退職所得の所得税の計算は下記のように特殊で優遇されています。
(退職金額?退職所得控除額)×0.5×税率
*退職所得控除額(80万円未満の場合は80万円とする)
・20年以下の場合――40万円×勤続年数
・20年超えの場合――800万円+70万円×(勤続年数?20)
しかし、その年の所得総額や、退職後に支払った国民年金保険料や国民健康保険料などの社会保険料、生命・損害保険料控除などの額によっては、
確定申告することで退職金から源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。
次のケースで計算してみましょう。
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勤続25年、5月に退職、5月までの給与収入250万円、給与から源泉徴収された所得税10万円、1~5月の社会保険料30万円、退職金1500万円、扶養家族は妻(専業主婦)と中学生の子供2人、退職後再就職はしていない。
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●退職金から源泉徴収された所得税額:
(1,500万円?1,150万円)×0.5×10%=17.5万円
●給与より源泉徴収された所得税額:10万円
●年間所得額:
給与所得――250万円?94.4万円(給与所得控除)=155.6万円
退職所得――(1,500万円?1,150万円)×0.5=175万円
●確定申告時の所得控除額:
・人的控除 190万円
・社会保険料控除(国民年金保険料)13,300円×7ヶ月×2人=18.62万円
・社会保険料控除(健康保険料)30万円
・1~5月の社会保険料控除30万円
・生命・損害保険料控除 11.5万円
●課税所得額:
(155.6万円+175万円)?(190万円+18.62万円+30万円+30万円+11.5万円)
=50.48万円
●所得税額:
50.48万円×10%=5.048万円
20%の定率減税:5.048万円×0.2=1.0096万円
納付すべき所得税額:5.048万円?1.0096万円=4.0384万円
●還付される所得税額
17.5万円+10万円?4.0384万円=
23.4616万円
退職所得を所得に含めて確定申告しなければ、還付される所得税額は給与から源泉徴収された10万円だけ。退職金も含めた確定申告では、
退職金で納めた所得税の約75%が還付されることになります。この差は大きいですね。
このように、
年間の所得額が少なく所得控除される額が多い場合は、退職金を含めて確定申告すると退職金から源泉徴収された所得税が還付される可能性がきわめて高くなります。
税務署の話では、「退職金を確定申告する人はきわめて少ない」。これは、「退職金に関する税金は、退職時点で清算が終わる」という思い込みゆえでしょうか。所得控除が多い人は、退職金の確定申告に挑戦する価値があると思います。
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