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タモリ氏の弔辞にみる感動のプレゼン(2ページ目)

心を動かすプレゼンテーション、誰もが憧れますが、実際はどのようにやればよいのでしょうか?そのヒントは思いをこめるということかもしれません。

野村 尚義

執筆者:野村 尚義

プレゼンテーション・企画力ガイド

お笑いやってるなら、弔辞で笑わせてみろ

このタモリ氏の弔辞が話題になったのは、ひとつの噂がたったからです。「あの弔辞は実は白紙で、タモリはその白紙を見て話していたのでは?」というもの。通常、弔辞は読むもの。でもそうはしなかったと。そして実際に、白紙であったことをタモリ氏は横澤彪氏に告白されたと聞きました。

なぜ、そんなことをしたのでしょうか?
ここからは私の推論にすぎないのですが、タモリ氏なりの故赤塚氏への誠意だったのではないかと思います。

弔辞の中の一節でこんな言葉がありました。

そして私に「お前もお笑いやってるなら、弔辞で笑わせてみろ」と言っているに違いありません。

しかし、タモリ氏はそうはしませんでした。最後の言葉として、周りを笑わせることよりも、故人に感謝の思いをダイレクトに伝えることを選んだのだと思います。聞き手は聴衆ではなく、あくまで故人だったのです。

その一方で、弔辞の言葉をこんな一言で結んでいます。

私もあなたの数多くの作品のひとつです。

自分も彼の作品のひとつである以上は、駄作ではいられない。それは赤塚氏の威信を汚すというだから。この弔辞も含めて、自分は赤塚作品らしくなくてはならない。

だからこそ、白紙を読むというサプライズを盛り込んだ。

「あなたはこの弔辞で笑いを取れと言うが、私はまわりを笑わせるよりも、あなたに『ありがとう』と伝えたい。でも私もあなたの一作品として、ただ単に弔辞を読むようなことはしませんよ。あなたの作品としてふさわしい、驚きを盛り込んでみせます」

そんな思いがこもっていたような気がしてなりません。

思いを伝えるプレゼンをすることの、難しさと奥深さを感じさせられませんか?


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