今話題の”おいしい”サステナブル習慣って?
世界中で問題になっている食品ロス。少しでも貢献したいけれど、自分にできることって何だろう……? そう感じている方におすすめしたいのが、今話題の「CLEAN FOOD」や「TABETE」などのサービス。誰でも手軽に食品ロス削減に貢献できる画期的な取り組みについて、そして、日本における食品ロス問題のリアルについて、現場で活躍する人たちにお話を伺いました。
提供:STOP!食ロス
食品ロスを減らせるスムージーって?
スーパーマーケットなどの店頭に並ぶ前に、サイズや形状が規格に合わないといった理由で、まだ食べられる野菜や果物の多くが廃棄されているのをご存知ですか? そうした規格外の青果を活用し、スムージーにして会社や自宅に届けてくれるサービスが「CLEAN FOOD」です。保存料や防腐剤は一切使わない、完全無添加。農地から直送された青果を工場で特殊冷凍しているから、素材の鮮度を損なうことなく、おいしくて栄養価の高いスムージーをいただけます。
「私の祖父母が農業を営んでいて、幼い頃から農地で発生する食品ロスを目の当たりにしていたことが、このプロジェクトを始めようと思ったきっかけでした」
そう語るのは、「CLEAN FOOD」を立ち上げた、原田奈実さん。「規格に満たない」という理由で、祖父母が愛情を込めて育てた農作物が捨てられる様子を見て、「味は変わらないのに、どうして?」と複雑な想いを抱いたそうです。
原田さん「このスムージーの開発にあたり苦労した点は、やはり、廃棄野菜や果物を、どうやって消費者の方によろこんで購入していただけるか。素材のよさを活かす意味でもスムージーという形にこだわり、その結果、多くの方に受け入れていただきました。農家の方にも『今まで捨てていた野菜がこんなにおしゃれになるなんて!』とよろこんでいただき、手ごたえを感じています」
「おいしく、健康になりながら、農家さんを応援できる」というコンセプトのもと、楽しく食品ロス削減に取り組めるアイデアを発信する「CLEAN FOOD」。スムージー以外にも、規格外の青果を使った瓶ジュースや、食材そのものも販売しているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
>>「CLEAN FOOD」について詳しく
生産現場から食卓まで。食品ロスってどうやって発生しているの?
ここであらためて、食品ロスの現状についておさらいしてみましょう。日本で1年間に発生する食品ロスの量は、実に612万トン*1*2といわれており、これに加えて農地でも食品ロスが生じています。これほどの食品が、どんな場所で、どのように廃棄されているのでしょうか?
「食品ロス」とは、まだ食べることができるのに廃棄される食品のこと。国連食糧農業機関(FAO)の定義によると、生産・貯蔵・加工・食品製造・流通の過程で発生する「Food Loss」と、小売・外食・家庭から発生する「Food Waste」の大きく2つに分けられます。
まず挙げられるのが、農地で廃棄される規格外の農作物。出荷できる野菜や果物には、形、色、大きさなどの「規格」が定められています。こうした規格は、戦後、流通の合理化や出荷の簡素化を図るために生まれました。ところが、近年の気候変動などの影響で、昔の規格に沿った農作物を作ることが難しいケースもあり、生産現場での食品ロスに拍車をかけています。規格に合わない農作物の多くは廃棄され、その量は、実に年間数百万トンにものぼるそうです。
原田さん「農家さんと話していて感じたのは、私たち消費者にも、また農家さんにも、農作物への固定観念があるということ。果物は形がキレイな方がいい、土がついた野菜は食べづらい……。そうした思い込みが消費者である私たちの心のどこかにあるのと同時に、農家さんたちのなかにも、『既存のルールに合わせて、ただ農作物を作り続けてしまった』と感じていらっしゃる方々がいます。世界中で食品ロスが大きな問題として取り上げられている今こそ、新しい農業の形を模索していくタイミングなのかもしれません」
*1 平成29年度推計(環境省)
*2 家庭や食品製造、飲食店等から発生する食品ロスの量:規格外農作物の廃棄分は含まれない
お客様の期待に応えるために……。お店で食品ロスが発生するジレンマ
出荷された農作物は、食品メーカーや飲食店、スーパーマーケットなどに届けられ、そこでさらなる食品ロスが発生します。
「お店側としては、お客様の『買いたい』『食べたい』という期待に応えるため、商品を多めに仕入れるのが定石です。結果的に、売れ残りや食べ残しという形で食品ロスが発生してしまっています」
そう教えてくれたのは、株式会社コークッキングの川越一磨さん。お店の利益と食品ロスの問題、その2つのバランスを取りながら事業を継続するには、様々な課題があるのだといいます。
川越さん「いかに売れ残りを減らすかが目下の課題となりますが、値下げや販売方法の変更によって商品のブランド価値が下がったり、仕入れを減らすことで品切れを起こすリスクがあるので、決して簡単なことではありません。流通段階では、『1/3ルール(賞味期限が残り1/3を切る前に納品しなければならないルール)』や『先入れ先出し(前日までに納入された商品よりも古い賞味期限の商品は納入することができないシステム)』といった、従来の商習慣をいかに緩和できるかが論点となるでしょう」
こうしたお店での食品ロスを減らす取り組みとして話題となっているのが、フードシェアリングアプリの「TABETE」です。まだ安全においしく食べられるにも関わらず、廃棄の危機に瀕している食品を、アプリからお得な価格で購入することができます。
川越さん「『TABETE』は、廃棄寸前の食べ物やお店を助けながら、誰もが日常的に食品ロス削減に取り組めるプロジェクトです。食品ロスに関心がある方はもちろん、既にユーザーとしてご利用いただいている皆様には、ぜひ誇りを持ってサービスを活用していただきたいと思います」
>>「TABETE」について詳しく
今回ご紹介した「TABETE」でできるようなフードシェアリングはもちろん、家庭で買いすぎてしまった食材や作りすぎてしまった料理を知り合いに”おすそ分け”することも、すぐにできる食品ロス対策の一つです。
つい捨ててしまう野菜は○○! 家庭で発生する食品ロスの現状
冷蔵庫の傷んだ野菜や、作りすぎて残してしまった料理を、心苦しくもゴミ箱へ……。そんな経験がある方は、決して少なくないでしょう。家庭でも日常的に発生する食品ロスですが、その現状は、どのようなものなのでしょう? ハウス食品グループ本社の生田幸平さんにお話を伺いました。
生田さん「平成29年度の推計(環境省)によると、家庭で発生する食品ロスは284万トンにもおよびます。これを受けて、ハウス食品グループ本社では、食品ロスに関わるアンケートを実施しており、各ご家庭におけるリアルな台所事情の把握を行っています。2020年度7月の調査では『捨ててしまいがちな食品・材料』で最も多かった回答は、ダントツで野菜類。そのなかでも、サラダなど生食のイメージが強いきゅうりや葉物野菜は、少ししなびてしまっただけで食べづらく感じられ、捨てられることが多いようです。無駄なく使い切るために、きゅうりをズッキーニの代用品として加熱調理して使うなど、発想の転換をしていただくとよいかもしれません」
きゅうりを使った「きゅうりのキーマカレー」。同プロジェクトでは、他にも「豆腐とキャベツのカレー」など食品ロスになりがちな食材を使ったカレーレシピを紹介中
そんな「発想の転換」をまさに実践しているのが、ハウス食品グループ本社が提案する「もっとカレーだからできることプロジェクト」です。余りがちなきゅうりやレタスをはじめとする、幅広い食材を使ったカレーが、レシピやひと工夫のポイントとともに紹介されています。
生田さん「カレーは懐が深いメニュー。『材料はこれじゃなきゃダメ』ではなく、『カレーなら冒険しても大丈夫だろう』と、自由な発想で大胆に食材を使えるところが魅力です。例えば、月に1日でも『冷蔵庫リセットの日』を決め、ストックしている食材の状態や期限を確認しつつ、日付の近づいた食材を使いカレーを作っていただく。そうすることで、ご家庭での食品ロス削減につなげられるのではないかと思っています」
>>「もっとカレーだからできることプロジェクト」について詳しく
私たちの意識で変わる、これからの食の未来
食品事業に携わる様々な人のお話から見えてきた、日本における食品ロスのリアル。最後に、今回お話していただいた3名の方々に、私たち消費者にできる心がけについて伺いました。
原田さん「農家さんが愛情を持って農作物を育てている現場を想像し、できれば実際に見ていただきたいです。食品ロスや新型コロナウイルス感染症の影響で、苦境を強いられている農家さんもたくさんいらっしゃいます。もし、日本で日本産の野菜が食べられなくなったら……。実際に起こり得るそうした状況も想像しながら、農業の現場に興味を持ち、身近に感じていただけたらうれしいです」
川越さん「食品ロスは、地球全体における、途方もなく大きな問題です。いきなりゼロにするのではなく、まずはできることから取り組むことが大切だと感じています。例えば、スーパーマーケットで牛乳を買うとき、消費期限を気にして棚の奥から取る人も多いと思います。でも、今まで期限以内に飲み切れていたのであれば、実は『奥から』にこだわる必要はないのかもしれません。そうした小さな一歩の積み重ねが、私たちの食の未来をつくるのだと思います」
生田さん「一説では、『食品ロスをなくせば、年間約6万円の節約になる』とも言われています。冷蔵庫のチェック&リセットを習慣化して、食材を使い切ることは、地球環境ばかりでなく、家計にも優しいことだといえるのかもしれません。一人ひとりの意識が変わり、行動に移していただくことで、ご家庭における食品ロスの削減は、大きく前進すると思います」
私たちの食の未来のために。身近にできる一歩を、今日から実践してみませんか?