書籍・雑誌
話題の本関連情報(2ページ目)
芥川・直木賞ほか、各種文学賞の受賞作や受賞作品を解説しています。
記事一覧
ダイベック『フリント船長がまだいい人だったころ』
ガイド記事石井 千湖ニック・ダイベック『フリント船長がまだいい人だったころ』妹がまだ赤ん坊だったころ、母はよく妹をハイチェアから抱き上げて歌った。「振り払おう、振り払おう、振り払おう。悪魔を振り払おう」『フリント船長がまだいい人だったころ』の冒頭の文章です。何やら不穏な雰囲気。母はなぜそんな歌をうたったのか。なぜ大切に...続きを読む
『ビブリア古書堂の事件手帖』第4巻発売!
ガイド記事石井 千湖三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』第4巻巨乳美女だけど対人能力に欠ける古書店主・栞子(しおりこ)さんと、本が読めない店員・大輔のコンビが本にまつわる謎を解く。第4巻の副題は「栞子さんと二つの顔」。シリーズ初の長編です。東日本が大規模な震災に見舞われてからしばらく経ったある日。大輔が店で作業をしている...続きを読む
宮部みゆき『ソロモンの偽証』第I部
ガイド記事石井 千湖宮部みゆき『ソロモンの偽証』第I部「事件」宮部みゆき作『ソロモンの偽証』の刊行が始まりました。全三部作で公式サイトによれば学校を舞台にした法廷ミステリーになるようです。1990年12月25日、東京下町にある城東第三中学校で死体が発見された、というのが事件の発端。亡くなったのは2年A組の生徒、柏木卓也...続きを読む
家に一人でいる時に読むと怖い本『残穢』小野不由美
ガイド記事石井 千湖『残穢(ざんえ)』小野不由美著物語は、作家を生業にしている「私」のもとに、一通の手紙が届くところから始まります。「私」は一時期、本のあとがきで<怖い話を知っていたら教えてほしい>と呼びかけていたのです。手紙の送り主である久保さんは、自身が体験した奇妙な出来事について書いていました。真っ暗な和室で畳を...続きを読む
思わず引き込まれるデビュー作! 新庄耕『狭小邸宅』
ガイド記事石井 千湖新庄耕『狭小邸宅』ライターになる前、1年にも満たない期間ですが、中古住宅や新築建売住宅の売買を仲介する会社で事務のアルバイトをしていたことがあります。売上のノルマはあるけれど、大手だったからか支店長の人柄か、わりと和やかな雰囲気でした。『狭小邸宅』に描かれている不動産会社は、わたしが知っているところ...続きを読む
相互厭人的読書生活
ガイド記事石井 千湖読んだ本についての記録です。タイトルの「相互厭人的」は、ヨシフ・ブロツキイ『私人』の〈小説や詩は独り言ではなく、作者と読者の会話〉であり、〈他のすべての人を締め出す極めて私的な〉〈「相互厭人的」な会話なのです〉という文章にちなみました。■相互厭人的読書生活1読んだ本についての記録です。タイトルの「相...続きを読む
相互厭人的読書生活5
ガイド記事石井 千湖ストーンズの曲の由来にもなったロシア文学黒猫の登場シーンが最高。河出書房新社刊。ロシア文学関連のインタビューをするので、ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』を読む。ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」に影響を与えたといわれる名作です。舞台はモスクワ。ある春、悪魔ヴォランドがあらわれた日を境に、...続きを読む
相互厭人的読書生活4
ガイド記事石井 千湖小説の限界に挑戦!?巻頭が「私のいない高校」なんて。「群像」は攻めてます。講談社刊。小説好きの人がみんなで選ぶ「Twitter文学賞」の投票が始まりました。わたしもどの本に投票するか考え中。『こちらあみ子』を、新しく始める書評連載の第1回で取り上げた。太宰治賞の下読みで、今村夏子さんの原稿にあたった...続きを読む
相互厭人的読書生活3
ガイド記事石井 千湖加齢を感じる瞬間2年ぶりの長編小説とか。光文社刊。連休明け、粛々と読書と原稿を進める。書評を依頼されて読んだ、桂望実『嫌な女』。有吉佐和子『悪女について』みたいに、いろんな人の証言から、“嫌な女”の人物像を浮かび上がらせるタイプの小説かと思いきや、合わせ鏡のような2人の女性の人生を描いた物語だった。...続きを読む
相互厭人的読書生活2
ガイド記事石井 千湖直木賞受賞第一作で仕事始め名久井直子装幀の美しい本。講談社刊。年初の締め切りは、中島京子さんのインタビューだった。年末に、直木賞受賞第一作の『エルニーニョ』についてお話を伺ったのだ。記事をまとめるにあたって、再読。21歳の女の子と7歳の男の子の逃避行を描いたロードノベルで、さまざまな異文化との“混じ...続きを読む