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預金者保護法で全額補償されないケース

2月に預金者保護法が施行されるとキャッシュカードの偽造・盗難による被害を金融機関が補償してくれることになりますが、補填されないケースもあります。どんな場合に補償されないのか、まとめてみました。

岩田 昭男

執筆者:岩田 昭男

クレジットカードガイド

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クイズ、全額補償されるのは三人のうち誰?

まずクイズです。A、B、C、三人のうち一人は全額100%補償されますが、他の二人は75%までの補償となります。全額補償はどの人でしょう。

●Aさん キャッシュカードの暗証番号を誕生日にしていた。そのキャッシュカードを免許証と一緒に盗まれ、後で預金を引き下ろされた。

●Bさん キャッシュカードの暗証番号をクルマのナンバーにしていた。そのキャッシュカードを通勤電車の中で掏(す)られた。後で預金を引き下ろされた。

●Cさん キャッシュカードの暗証番号を自宅の電話番号にしていた。そのキャッシュカードを終電車で泥酔していて盗まれ、後で預金を引き下ろされた。


預金者保護法は「偽造」と「盗難」の二つを補償してくれる

お札
全額補償になるか、75%に減額されるのか?
キャッシュカードの被害は偽造と盗難の二種類があります。偽造の場合は重大な過失(暗証番号を知らせた、暗証番号をカードに書き込んでいた、カードを他人に渡したなど)を除いて被害は全額補償されます。しかし、盗難の場合には、ある程度の責められる点があったときにも「過失」と認定されて被害の75%しか補償されないことがあります。

全額補償にならないのは、どんな場合か気になります。その条件を以下に述べてみましょう。


類推されやすい暗証番号は危ない

まず、金融機関から変更の注意があったにも関わらず類推されやすい暗証番号(生年月日、電話番号、住所、クルマのナンバーなど)を使い続けており、しかも、その番号を推測させるもの(免許証、保険証など)と一緒に保管しているケース。その時には「過失」があったものとされて全額補償にはなりません。
Aさんの場合がそれにあたります。生年月日を暗証番号にしており、さらにキャッシュカードを免許証と一緒に保管していました。二つのマイナスが重なったために「過失」とされます。


キャッシュカードをしっかり保管しないと減額に

また、暗証番号をメモに書いて記し、それをキャッシュカードと一緒にして保管した場合も「過失」となります。
さらに、類推されやすい暗証番号であったうえにキャッシュカードの管理が杜撰だったときも、「過失」とされます。
例えば、他人の目に晒されて奪われやすい状態(駐車場のクルマの中にキャッシュカードを出しっぱなしでクルマを離れるなど)とか、酔っぱらって通常の注意義務を果たせないときなどです。Cさんは自宅の電話番号を暗証番号にしていましたし、電車で泥酔してカードを盗まれましたから、このケースにあたりますね。したがって、全額補償は期待できません。


キャッシュカードの暗証番号は特別な扱いに

この他に金融機関の取引以外にキャッシュカードの暗証番号を流用するのも問題です。4桁の暗証番号は様々なところで使う機会が増えています。貴重品を預けるロッカーのカギとか自転車のダイヤルキーなどですが、覚えにくいのでついキャッシュカードの暗証番号を流用する人が多いようです。
しかし、その番号を盗まれて悪用される危険もあります。流用した暗証番号を盗まれて、しかもカードの保管が十分でなかった場合には全額補償にはなりません。


責められるべき点がひとつなら「過失」とならない

以上、盗難による被害では、預金者に「過失」があった場合には全額補償とならないことがあります。「過失」の定義は、複雑ですが、簡単に言うと責められるべき点が二つ重なった時に適用になるということです。
ですから、責められるべき点が一つだけで他に問題がなければ、「過失」とならず、全額補償してもらえるということです。Bさんはその例です。Bさんは、クルマのナンバーを暗証番号にしていましたから、責められるべき点はひとつありましたが、他には問題はなかったので、「過失」とはならず、全額補償となります。したがって、クイズの正解はBさんです。


いますぐ暗証番号の変更を。カードと免許証は一緒にしない

預金者保護法は2月に施行されます。そのルールは少々複雑で、分かりづらいところも多くあります。しかし、すでに決まったことですし、私たちはそれぞれの条件をよく理解し、それに対応していかねばならないでしょう。
とくに、「暗証番号」の変更はいますぐにでも取りかかるべきです。現在、生年月日や自宅の電話番号、住所、ナンバーなど類推されやすい暗証番号を使っている人は、すぐにATMで変更してください。
また、サイフにキャッシュカードと免許証、保険証などを一緒に入れている人は、すぐにカード専用のケースを持つようにした方がいいでしょう。こうした自己防衛をしておかなければ、万が一、被害にあったときに75%しか補填されないことになります。

また、預金者保護法では、金融機関に申し出ててから遡って30日前までしか被害を補償してもらえませんから、月に一度は銀行の窓口やATMで、記帳して不正な引き出しがないかを確認してください。


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