クレジットカード/クレジットカード関連情報

サブプライムローン問題とクレジットカード(2ページ目)

サブプライムローン問題は住宅ローンの焦げつきとして取り上げられますが、個人信用情報の濫用という観点からも考察する必要があります。日本のクレジットカードの仕組みに関係する欠かせない視点です。

岩田 昭男

執筆者:岩田 昭男

クレジットカードガイド

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クレジットスコアの低い人は住宅ローンの金利は高い!

ちなみにクレジットスコアは最高で850点、最低で300点という点数で格付けされています。その中で620点以下がサブプライムの人とみなされます(フェア・アイザック社が作った「FICOスコア」の場合)。この層の人たちは、これまでは住宅ローンを組むにもリスクが高いとされ、高い金利のものしか利用できませんでした。ところが、2003年の住宅ブームで最初の数年間は金利を極端に低くしたローン商品が開発され、爆発的に普及したのです。現在、このサブプライムローンは全体の1割以上を占めるまでになっています。

一般企業に販売されているクレジットスコア!

しかも、クレジットスコアはローン金利だけでなく、就職や転職、引っ越しなどにも大きな影響力を持ち始めています。このスコアは社会人の偏差値といえるもので、一般企業にも売買されているため、人材募集の際にこのスコアが利用され、結果的に就職の時にスコアの点数が足りなかったために、不採用になるというケースが多くみられます。また、引っ越しの際にも家賃滞納の履歴があったりすれば、不動産屋がチェックしますから、良好な物件を得ることは難しくなります。サブプライムローン問題の裏には米国のクレジットスコア依存社会があることを見逃してはならないでしょう。

信用情報の一本化が遅れている日本ではサブプライムローンの開発は難しい!

ひるがえって、日本ではどうでしょうか。幸いにというべきか、個人信用情報がいくつかの機関でバラバラに登録・保管されているために、サブプライム層を正確に把握することはいまのところは難しい状況です。たとえば、消費者金融でたくさん借りていても銀行では正規のルートでは把握しづらくなっています。裏から手を回せば何とかなるかもしれませんが、米国のように簡単にクレジットスコアで、特定できませんから、当分サブプライムローンは開発できないと考えられています。国民の信用力をひとつの物差しで測ることのできない日本は米国から2周遅れで走っているようなものです。しかし、その結果、今回の騒動では、日本の損害は軽微で済みましたし対岸の火事と決め込むこともできました。

指定個人信用情報機関の誕生に伴いクレジットスコアの環境が整う!

しかし、09年6月には貸金業法改正に伴い指定個人信用情報機関が指定されて、複数の信用情報機関がひとつになるといわれています。これによって国民の個々の信用力を総合的に格付する体制が整うことになり、恐らくクレジットスコアのようなものもでてくるでしょう。いよいよ米国並みの体制が整うことになります。これによって、銀行やカード会社は簡単に個人の信用力を判断することができるようになります。独自の審査をするまでもなく、その人のクレジットスコアをみるだけで返済能力のだいたいの見当はついてしまうからです。
しかし、信用情報の一本化の結果、今回のサブプライムローンのような行き過ぎたローン商品が生まれる可能性もでてきます。また、就職、転職、引っ越し、結婚までクレジットスコアが支配するような世の中になる危険性もあります。それを考えると、多重債務を防ぐ意味で信用情報の一本化は必要かもしれませんが、信用情報のマーケティング活用やクレジットスコアの販売など行き過ぎた利用をを禁止する規制は必要になるでしょう。利益第一主義に傾かないよう、私たちは十分に監視する必要があるでしょう。
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