電子マネーでシャッター商店街を建て直そう!
地方の商店街は郊外の大型店に顧客を奪われてどこも景気が良くありません。なかには廃業した商店が並ぶ、いわゆるシャッター商店街もあります。しかし、衰退する一方の商店街を手をこまねいてみていたのでは芸がないと、電子マネーでの復活を企てる市町村もでてきました。商店会の誘いで講演会を開催!
三重県伊賀市もそのひとつ。筆者は先日、同市の商店会から「電子マネーとは何か―――商店街復活のための電子マネー活用」という演題で講演を依頼されました。商工会議所、市役所、商店会が共同で開催するもので、対象は商店会に所属する商店主たちでした。近々、市内の商店街に電子マネーを導入し、地域通貨として新サービスを展開し、そのポイント制で顧客を呼び返したい、それには複雑な電子マネーの種類と仕組みを知っておこうというので、私が呼ばれたのでした。伊賀は忍者の街で知られた観光地!
伊賀市は最近まで伊賀上野市と言いましたが、合併で市域を拡大してから、上野の地名を取って伊賀市と改名しました。伊賀忍者の故郷として、また、俳人松尾芭蕉の生誕地として知られるこの町は、三重県西部の盆地に位置する人口10万人の典型的な地方都市です。市内中心部には忍者屋敷や忍者博物館があり、藤堂高虎が築いた上野城址は日本一高い石垣を持つ城として有名で、毎日多くの観光客が訪れます。年間の観光客数は350万人を超えるといいますから、立派な観光地です。イオングループの「地域通貨」戦略がきっかけに!
それにしてもどちらかといえば、保守的といえるこの町が電子マネーを導入する気になったのは何故なのでしょうか。じつは、背景にはイオンの働きかけがあったといいます。同市に出店しているイオンが電子マネーワオンを商店街に導入してはどうかと誘いをかけたのです。イオンは当初から地域通貨構想を打ち出しています。ワオンを地域の商店街で活用することで、イオンの店と商店街が共生しようという提案です。それを受けて商工会議所や市役所、それに商店会が電子マネーの導入を本格的に検討することになったのでした。電子マネーのメリット・デメリットについて!
伊賀市が電子マネーを導入するにはまだ時間がかかりそうですが、その過程でわかったメリットや障害などについて、まとめてみました。○ 伊賀市では、すでに商店街で数種類のポイントカードを発行していますが、低調であまり使われていません。それを継続するよりは、電子マネーに切り換えて、ポイント制と同時に電子マネー化を狙うのが有利という点で、市民のコンセンサスになりつつあります。
○ ワオンを導入した場合には、ポイントがつくのでそれで町起こしになると期待が集まっています。ただ、イオンに客を奪われた商店主たちは複雑な気持ちのようです。とくにワオンを使うにしても商店街で貯めたポイントでジャスコで買い物をされたのではイオンの儲けになるだけとの反発があり、商店街で貯めたポイントについてはイオンでは使えないようにしようとの案もでています。