●リターンの計り方
資産運用による投資収益のことをリターンといいます。リターンは利子・配当による収益と元本価値の増減による収益を合計したものです。数期間にわたるリターンの大きさ(収益率)を計る方法を確認しておきましょう。
期間が異なる投資成果は、年ごとの投資収益率を年利ベースの平均値として算出することにより、比較することが可能となります。
年ごとの投資収益率を年利ベースの平均値として算出する方法には、算術平均と幾何平均とがあります。
●算術平均とは単純平均
期間は1年とは限らないのですが、ここでは計測期間の単位を1年ごととして考えます。算術平均による投資収益率は、各期のリターン(率)を単純に平均するだけです。
(A)1年目、2年目、3年目のリターンがそれぞれ1%、5%、3%である場合は、
(1%+5%+3%)÷3年=3%
として計算できます。
計算が単純明快、簡単にできるのがメリットですね。簡単なだけに各期ごとの変動幅は反映されないのが、デメリットになります。厳密さに欠けるということです。
(B)1年目、2年目、3年目のリターンがそれぞれ-10%、5%、14%と大きく変動する場合も、
(-10%+5%+14%)÷3年=3%
となりますので、(A)と同じ結果になります。
●幾何平均とは
幾何平均による投資収益率は当初元本を期間ごとの収益率で複利運用したときの平均収益率となります。これは期間中、平均収益率で運用し続けた結果と同じになるということです。
(A)(1+0.01)(1+0.05)(1+0.03)=1.092315の3乗根を計算すると1.029870ですので、1を引いて%に直せば、2.987%となります。
(B)(1-0.1)(1+0.05)(1+0.14)=1.0773の3乗根を計算すると1.025129ですので、1を引いて%に直せば、2.512%となります。
幾何平均では運用の安定度が平均収益率に反映されていることがわかります。
各期のリターンがまったく同じ場合には、算術平均収益率=幾何平均収益率となりますが、各期のリターンの変動幅が大きい場合ほど、算術平均収益率>幾何平均収益率の度合いが大きくなります。
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