資産運用/投資初心者にもできるカンタン資産運用法

含み損を抱えても売らない投信、売っていい投信

投資信託は長期投資のための金融商品ですから、じっくり寝かせる覚悟が必要です。しかし、なかには含み損を抱えた場合には処分したほうがよい投資信託もあります。ピンチをチャンスとするための見直しをしましょう!

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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含み損を抱えて、どうしたものかと悩んでいる個人投資家

投信を買って思わぬ含み損を抱えて、どうしたものかと悩んでいる個人投資家がたくさんいます。しかし、元来、投資信託とは長期投資のためのツールですから、これを機にじっくり寝かせて大きく成長するのを待ってみるのも貴重な体験です。ただし、早く増やすための銘柄選択は欠かせません。
 
相場が悪い時でも、保有し続けて良いのは、良いファンドのみ

相場が悪い時でも、保有し続けてよいのは、良いファンドのみ

 

「良いファンド」ならじっくり持ちたい

良い投資信託とはワインのようなものです。年数をかけて寝かすことによって価値がでます。たとえ、それが今回のような暴落によって大きく損した場合でも、本質的な価値は変わりません。

相場が悪い時でも、保有し続けてよいのは、良いファンドです。良いファンドの条件をひと言でいうのはむずかしいのですが、簡単にいえば4つのPです。

Performance:パフォーマンスはベンチマークに負けない騰落率
Policy:ポリシーは投資家に長期的に報いることを約束する哲学
People:ピープルは柔らかい頭脳とタフな魂をもったファンドマネージャー
Process:プロセスは顧客のために効率的で透明性の高い運用経過


そんな4つのPが揃った投資信託なら、「果報は寝て待て!」とばかりに迷わずに保有です。

問題は、何が良くて何が良くないかをどうやって知るかということでしょう?第3者機関として次のような候補がありますが、あなたにとって相性の良い情報源はどれでしょうか?

・ファイナンシャル・プランナーや投資コンサルタント
・証券会社のファンド比較サイト
・モーニングスターやLipperのようなWebサイト

とはいえ、適切な選択には相当の経験と眼力が求められますから、コールセンターや無料サイトで簡単に得られる情報ではありません。こうした情報収集が面倒だとなれば、インデックスファンドやETFの活用となります。
 

売ってもいい投資信託

良くない投信をひと言で言うのもむずかしいのですが、少なくとも次にあげるような投資信託は、長期保有に向くファンドではありません。

・純資産額の小さな投資信託
・ベア型ファンド
・テーマ型ファンド
・負け犬ファンド
 

長期保有に向かない投資信託

次のような投資信託は、こんな時に売ってもいいかもしれません。
 

・小さくなりすぎた投資信託

純資産額が10億円以下となった投資信託では、コストが割高につき卓越した成績を残すのは困難。最悪の場合には償還されて消滅してしまうかもしれません。時価では換金されますが、それからまた新しい投資信託を探すのは面倒ですね。
 

・今でもハイリターンをあげているベア型ファンド

ベア型とは下げ相場で収益をあげますが、上昇相場では大きな損失を出します。市場の騰落率は長期的には平均に回帰するといわれますから、極端な相場観を前提にしている投資信託は長期保有には向きません。
 

・旬の過ぎたテーマ型ファンド

販売戦略上、特定のテーマ(AI、IT、環境、エネルギーなど)に絞った投資信託も長期投資には向きません。そういうテーマが脚光を浴びていること自体、旬を過ぎている証明になるとお考えください。
 

・上昇時も負け、下落時も負け、というファンド

株価の暴落には弱かったファンドでも、上昇期にはベンチマークを上回ることがあります。それぞれの運用会社の哲学やファンドマネージャーの戦略により、良いパフォーマンスを出せる時と出せない時があります。たとえば、プロ野球のバッターにも対戦相手として、得意のピッチャーもいるし、苦手のピッチャーもいるようなものです。でも、株価が上昇する時も下落する時も、さえないファンドでは、これからも期待できないかもしれません。

持っている投資信託に本質的な欠点や偏りがあるのなら、より良いファンドを見つけてさっさと乗り換えるべきです。その時には、解約手数料(信託財産留保額)や新たな購入手数料(申込み手数料)がかかるかもしれません。しかし、長期投資による累積的なリターンに比べれば小さなものです。必要なコストと思う割り切りも必要です。

いずれにしても、含み損を抱えた場合にどう行動するかが、あなたの投資結果を大きく左右します。売るか保有するか?正念場なのです。
 
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