資産運用、というと「○○株を60万円で買ったら1億円になった」とかいう夢物語をつい連想してしまいます。自分もそんなチャンスを見つけたいと思うことでしょう。でも銘柄を選んだり日々の値動きをチェックしたりすることより、資産運用にはもっと重要なことがあるってホント?
A1:YES……資産運用においては銘柄のチョイスや売買のタイミングを考えることも重要ですが、「資産配分」を考えることと、運用をする前提となる「自分を知る」ことのほうがもっと重要です。 |
普通、資産運用で大もうけするためには、どの株(あるいは投資信託)が値上がりするかといった「商品選び」と、安くなったときに買って高くなったときに売る「売買のタイミング」が大切だと思います。実際、多くの本ではこうしたテクニックを取り上げており、「必勝法」を熱心に紹介しています。
しかし、事前に確実に値上がりする銘柄を見極めることはプロにとっても至難の技です。今のタイミングが本当に一番安いのか、今のタイミングが本当に一番高いのかを見極めることもプロですらいつも判断に苦しんでいます。
素人である私たちがそうしたテクニックを身につけられると自分を過信しすぎないようにすることが資産運用では大切です(そもそも「本当に」必勝法なら人にはナイショにして自分だけ儲ければいいと思いません?)。
ある調査では、パフォーマンスに与える影響として「商品選び」や「売買のタイミング」による効果は1割にも満たないとされています。それよりも重要とされているのは「資産配分」です。
「資産配分」というのは、どのタイプの金融商品を何%ずつ購入するかという割合のことです。プロは大きく5つの要素で分けて考えています。国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、現預金です。この配分割合について多くの時間と予算を割いて、慎重に検討を行います。実際の売買より運用計画の立案を重要視するといってもいいくらいです。
というのも、「○○株を売って5%の利益が出た」といっても、大きな目で見てみると「儲かったのはそもそも日本株式市場全体が5%値上がりしていた」からにすぎないことのほうが多いのです。
ですから、「日本株式を自分の資産の中で何割くらい買ってもいいか」という割合を検討することのほうが資産運用においてはもっと重要なことになってくるのです。(そしてこの考えは分散投資の視点からも重要です)
そして運用の計画を立てるにあたっては「自分を知る」ことが何より重要です。自分の投資知識のレベルを自覚することはもちろん、自分の現在の財産状況や将来の財産の見通し、人生設計なしに運用することは地図もコンパスもなしに森に入るようなものです。
自分を知ることによって、自分の運用にチャレンジできるレベルが分かり(難しい言葉ではリスク許容度といいます)、それが分かってはじめて自分に適切な「資産配分」が分かるのです。
つまり、資産運用では、まず「自分を知る」ことから始まるというわけです(自分を知ることが大切なのは、運用に限らず仕事でもプライベートでも大切なことですよね!)。