所得の差でみる稼ぎ方ポートフォリオ
ところで、所得の差が大きい共稼ぎと、お互い同額程度を稼いでいる共稼ぎには違いがあるでしょうか。所得の差は、大きい場合も小さい場合も両方のポートフォリオにそれぞれのリスクがあります。まず、所得の差が大きい場合です。たとえば合計800万円を夫600万円+妻200万円で稼いでいるとします。その差は400万円です。こうした差は、何かあったとき追いつくのはかなり大変です。たとえば夫が病気やケガで休職して収入が減ったり、急に仕事を辞めざるを得なくなったら、妻ががんばって600万円稼ぐことができるでしょうか。おそらく難しいでしょう。
この場合、夫がもし働けなくなった場合に困らないだけの備えを考えておく必要があります。ケガや病気による休職、あるいは仕事のトラブルで退職を余儀なくされたり会社が倒産した場合の生活費、もっと考えれば急に大黒柱が亡くなってしまった場合についても備えておくことが必要です。貯金を行うことが第一ですし、最低限必要な死亡保障などは用意しておくべきでしょう。子どもがいる場合は特に備えをしておくことが大切です。
次に、所得の差が小さい場合です。たとえば合計1000万円を夫550万円+妻450万円で稼いでいるとします。その差はわずかに100万円です。あるいは500+500万円ということもあるでしょう。この場合、仮に一人暮らしになってもおそらくそれぞれが自分の稼ぎで生活していくことができるでしょう。その面では所得差が大きいカップルと比べて安定しているといえます。しかし、所得差の小さいカップルにも大きなリスクがあります。それは「出産・育児期間の生活費」という問題です。
子どもができて、出産休暇、育児休暇を取ることになれば、当然のことながら妻はお休みをしなければなりません(育児休暇については夫も役割分担が可能ですが)。このとき、正社員でなければ、妻の収入はゼロになってしまいます。正社員であっても、産休・育休期間の手当は限られています。充実した会社であっても全額というわけにはいきません。そのとき、なんとか生活をやりくりしていくだけの貯金は用意しておくことが必要です。当然、出産・育児にあたってはお金もいろいろかかりますので、その分のことも考えておく必要があります。とりあえずは最低でも各種出費100万円+生活費の半分×6カ月分くらいを目標に貯金をがんばってください。せっかく授かった子どもを喜べないなんて残念ですからね。
所得の差、といえば「1XX万円の壁」ばかり気にしていて共稼ぎをセーブしている人も多いようですが、私としてはそんな壁など気にせずどんどん稼いだほうがいいと思います。240万円も稼げば厚生年金保険料や社会保険料など気にならないほどの手取りが増えますし、将来の年金額も格段に上昇します。今こそ国民年金保険料も健康保険料も専業主婦(夫)は無料ですが、今後負担を求められるのは間違いありません(国保などではすでにかかっている)。税制上も配偶者の優遇施策は縮小の一途をたどっています。今、専業主婦が有利といわれるのはそうした税制や社会保険のメリットがあるからにすぎません。「そのときになったら年収を増やす」と思わずに今のうちから稼ぎを増やしてはどうでしょうか。
「稼ぎ方ポートフォリオ」というあまり例のないテーマで記事をまとめてみました。なにぶん初めての試みにつき、荒い部分もありましたが、「なるほど、こういう考え方もあるんだ」という気づきになれば幸いです。また、テーマを練り込むことができたら追加して書き込んでいきたいと思います。
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