Javaプログラミング/はじめてのJava

開発環境って、なに?(2ページ目)

Javaの雑誌やWebサイトを調べると「開発環境」という言葉が何度となく出てきます。これって、何でしょう? Javaに必要なものなんでしょうか?

執筆者:掌田 津耶乃

どんな開発環境があるの?


開発環境と一口にいっても、実はさまざまなものがあります。商品として販売されているものからフリーウェアのちょっとしたツールまで、Javaに関するだけでもおそらく十数種類はあるでしょう。その中からどういうものがよいのか選ぶのはけっこう大変ですね。

Javaの開発環境は、その機能などの点からいくつかに分類することができます。どのようなものがあるのか、簡単に整理してみましょう。

●エディタの強化版
フリーウェアなどで比較的多いのがこのタイプです。プログラムのリストを入力するためのテキストエディタの部分をJava用に強化し、これにコンパイル(プログラムを生成する作業)などの機能を追加したものですね。基本的には「すべて命令文を書いて作る」というスタイルです。これらは統合開発環境といっても、比較的シンプルなものです。

●GUIをデザインできるタイプ
GUI(ウインドウやマウスなどの視覚的な部分)を作るのに、マウスを使ってビジュアルにデザインできる機能をもったタイプのものです。オープンソースのものや商品ソフトなどはたいていこのタイプです。GUIの作成部分は、プログラムリストとして打ち込んで作るのが大変面倒ですので、このタイプのもののほうが圧倒的に効率はよくなります。

●サーバ開発に対応したタイプ
2の発展版として、サーバ側の開発に対応したタイプ(サーバの起動や、サーバ開発に必要な設定、データ作成などに対応したもの)というのがあります。サーバ開発は、通常のアプリケーション開発などよりはるかに複雑ですので、これに対応したものとしていないものとでは開発効率には雲泥の差があります。

この3つの分類は完全に分かれているというものではありません。例えば、後述しますが「Eclipse(エクリプス)」と呼ばれるソフトなどは、基本的には1の「エディタの強化版」なのですが、プラグインソフトを追加することで2にも3にも変身してしまいます。

では、実際にどういう開発環境が一番いいのか? そのオススメをいくつかピックアップして紹介しておきましょう。

Eclipseは、さまざまなプラグインで機能拡張できる。これはガイドの使っているカスタマイズされたEclipse画面。(クリックで拡大表示)

●Eclipse(エクリプス)
Eclipse Foundationという団体によって開発されている、オープンソースの開発環境です。このソフトが、実をいえばJavaの世界で最も広く使われている開発環境といっていいでしょう。

実は、これは先の分類でいえば1の「エディタの強化版」のソフトです。編集やデバッグに関しては非常に高機能ですが、GUIのデザインやサーバ開発などの機能は標準ではありません。また、標準では英語版のみで日本語の表示もされません。

が! 実はこれらは簡単に解決できてしまいます。Eclipseは「プラグイン」という機能を持っており、足りない機能をプラグインとしてどんどん追加していけるのです。日本語化のプラグインを追加すれば日本語版になるし、GUIのデザイン昨日のプラグインを入れればビジュアルなデザインができるようになる。サーバ開発のプラグインをいれれば簡単にサーバの開発もできるのです。

標準では必要最低限の機能をしっかりと着実に実現し、後はそれぞれの要求に応じてプラグインを入れて自分の環境を作っていく。それがEclipseの基本理念なんですね。

JBuilderは標準で強力なGUIのデザイン機能が搭載されている。これは無償配布版の画面。(クリックで拡大表示)

●JBuilder(ジェービルダ)
これはボーランドという会社が開発している製品ソフトです。製品としては、おそらくもっとも広く使われているものの一つでしょう。

このソフトはいくつかの種類が用意されており、GUIのデザイン機能を持ったものからサーバ開発ができるものまであります。もっとも高機能なものはかなり高価なのですが、一番下のものは、なんとタダで配られているのです! この無償配布されているものでも、GUIのデザイナは標準で用意されており、エディタも強力なものが搭載されています。

種類は違っても使い方はすべて同じですから、まずは無償版でしばらく勉強して、気に入ったら製品版を買ってみる、というようなアプローチもできますね。

NetBeansはGUIのデザイン機能の他、サーバ開発関係が特に強力。これはver. 4.0という最新の一つ前のもの。(クリックで拡大表示)

●NetBeans(ネットビーンズ)
netbeans.orgという団体によって開発されているオープンソースの開発環境です。同じオープンソースといっても、Eclipseとはアプローチがまったく違います。

NetBeansは、「標準ですべて揃っている」のです。強力なエディタ、GUIのデザインツールはもちろん、サーバ開発の機能、更にはJavaのサーバ本体までついてるのです。開発環境の中でももっとも機能的には充実しているといっていいでしょう。

この3本が、Javaの開発環境の中でももっとも安心して勧められるものといってよいでしょう。基本的に、できる機能についてはそれほど大きな違いはありません(JBuilderに関しては製品の種類によってかなり違いはありますが・・)。これら代表的な開発環境については別途取り上げて紹介していくつもりですので、それらを参考にしてみてください。

開発環境を使う上で一つ注意しておきたいこと。それは「全部の機能を使えないとダメ!なんて思わないこと」です。--ここにあげた3つのソフトは、いずれもかなり強力な機能が標準で用意されています。それらは使いこなせば大変便利なのですが、慣れない内は機能の役割や意味がよくわからなかったりするものです。ですので、「よくわからないものは、とりあえず放っておく」--これが活用のポイントです。

いずれJavaに精通するようになったら、それまでわからなかった機能も「なんだ、そういうことか!」とわかるようになってくることでしょう。ですので、最初のうちは、もっとも基本的な機能に絞って確実に使えるようになればよしとしましょう。最初から欲張ると、かえって失敗するものですよ。
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