文章:森谷 雄(All About「ハワイ」旧ガイド)
2007年4月24日深夜1時05分、伝統航海カヌー「ホクレア号」がついに日本・沖縄へ到着! 大勢の地元の方々の歓迎の中、沖縄県糸満漁港北地区に無事入港しました(公式日本語ブログ「ホクレア号航海ブログ」) |
2006年9月27日、都内ホテルでハワイ州観光局による「ホクレア号航海プロジェクト」の記者発表が行われました。「ホクレア号」とは、ポリネシア古来の伝統航海術を再現したカヌー。2007年1月にホノルルを出航後、ミクロネシアを経由して日本の8都市に寄港を予定しています。
ホクレア号の初航海は、今から30年前。この航海には、伝統航海術の継承はもちろん、ハワイアンのルーツを再確認し、伝統文化と民族の誇りを取り戻すという深いテーマがあったのです。
星をコンパスにやってきたハワイの祖先たち
今から1000年以上も昔。文字もコンパスもないポリネシアの人々は、星や月の位置、波や風、海鳥の飛ぶ方向などを手掛かりに航路を導き出す航海術「スターナビゲーション」でカヌーを操り、島々を往来していました。最初にハワイを発見し、移り住んだ人々が乗っていたのもカヌー。タヒチ付近から約4000キロの航海だったといいます。しかし、その後、長距離航海が途絶え、1700年後半には西洋文化の影響を受けることになり、いつしかポリネシアの航海術も忘れられていきました。
ハワイアン希望の星「ホクレア号」の誕生
西洋文化の影響を受け、航海術はもちろん、フラやハワイ語などハワイの伝統文化まで失われた時代がありました。今から50年ほど前には、ハワイアンの生活そのものも否定され、誰もが喪失感を抱いていたそうです。しかし、1970年代になると世界中で人権運動や民族運動が高まり、ハワイでも「ハワイアン・ルネッサンス」と呼ばれる伝統文化の復興運動が行われました。その流れを受け、祖先が成し得た伝統航海術を検証することで祖先の誇り、自分たちの誇りを取り戻そうと1974年に発足したのが、「ホクレア(ハワイ語で幸せの星の意味)号航海プロジェクト」なのです。
リーダー「ナイノア・トンプソン」が語るホクレア号の歴史とは 次ページへ