スライダーにはさまったバルーンの生地を引っ張る学生ボランティアたち

スライダーにはさまったバルーンの生地を引っ張る学生ボランティアたち

新しいスライダーが到着するまでに2週間かかった。9月19日、ようやく室井と3人の風船工房スタッフ、学生ボランティアによって、再浮上の作業がはじまった。

緑色のシートと化したバッタは、台風で水浸しになっていた。中にも水がたまっている。めんどうなことに、台風が来る前に急いでスライダーを降ろしたため、生地がはさまっているところもある。

 

黄色いシャツ:中野くん、白いシャツ:小松くん。2人を中心にして作業が行われた

黄色いシャツ:中野くん、白いシャツ:小松くん。2人を中心にして作業が行われた

「足を引っ張りだそう」学生たちが動き出す。はさまっているところを探し、それを引っ張り出し、少しずつ作業が進む。監督役の中野が下から声をかける。

「スライダーを上げるので、位置について!」大きな声。演劇サークルに所属している学生だ。声の大きさが買われて監督になった。もう1人の監督は小松。足場の上で作業全体を見る。この2人が中心となり、学生ボランティアをまとめている。

 

写真左:椎野さん。演劇で鍛えた大きな声を出して指示する

写真左:椎野さん。演劇で鍛えた大きな声を出して指示する

「スライダー、上がります」と、女の子の声。この声の主・椎野も演劇サークルに所属している。ホテルの壁に反響して響き渡る。室井の指示はあまりなく、学生たちが自分で考えて行動している。

中野たちはこの作業をしながら、いつもこう思っていたという。「楽しいけど、ホントはくやしい。今は手伝う役だけど、将来は先生のように何か企画する側になりたい」と。その気持ちが、学生たちを動かしていたのだろう。

 

室井も椿も教師だ。その立場がこんなセリフをはかせた。
「この現場は学生たちを成長させているはず。こういうフィジカルな経験というのは、後々きっと役に立つ。今の教育現場は、箱の中だけで教えていることが多い。学生は責任を負わせることで、問題を解決する力がつく。そういう教育をもっとしていかなければならないが、残念ながらそうなっていないのが現状なんだ」

胴体だけがふくらんだ、巨大バッタバルーン

胴体だけがふくらんだ、巨大バッタバルーン

午後からは、バルーンを乾かすために胴体だけふくらませてみた。そして再浮上の作業初日が終わった。