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ゆっくりと時を過ごす。乃木坂アートさんぽ

東京ミッドタウンや国立新美術館の最寄り駅でもある、地下鉄千代田線「乃木坂」駅界隈には、20年以上愛されてきたアートスポットや喫茶店があります。まだ見ぬ乃木坂を求めて歩いてみました。

執筆者:妹尾 みえ

「サントリー美術館」や「21_21DESIGN SIGHT」を擁する「東京ミッドタウン」、「国立新美術館」の最寄り駅として、俄然注目を集めているのが、地下鉄千代田線「乃木坂(のぎざか)」駅界隈です。

赤坂、青山、六本木のちょうど境界にあたり、逆にだからこそ、その感性と静けさを保ってきた場所。今回は、あえてミッドタウン、新美術館、ヒルズの3大スポットをはずし、アートな空間を探して、この乃木坂を歩いてみました。

<INDEX>
●空間1 ギャラリーまるごとがアート空間・・・
●空間2 裏通りの喫茶店・・・2
●空間3 乃木夫妻の過ごした場所・・・3

ギャラリーまるごとがアート空間 <ギャラリー・間>


エレベータを下りるとすぐギャラリーへの入口が

ソニーミュージックエンタテインメント、桂由美ブライダルハウスなどがビルを構える乃木坂駅前。そのうちの一つが、水回りの総合メーカーTOTOの乃木坂ビル。この3階と4階にあるのが、TOTOの運営する、建築とデザインの専門ギャラリー「ギャラリー・間(ま)」です。

オープンは1985年。名前の不思議な響きは、「人間・時間・空間それぞれの間合い」から得ています。そこには「日本特有の概念」が映し出されているともいいます。

訪れた日は「アトリエ・ワン展 いきいきとして空間の実践」を開催中。第一展示室には、「人形劇の家」が組み立てられ、ほの暗い照明の中で、幾体もの人形たちが、静かに本番を待っていました。会期中には、実際に人形劇の公演もおこなわれるとのことです。

第一展示室から中庭を望む。アトリエ・ワン展では中庭に「ホワイト・リムジン・屋台」が置かれた

そんな黒い壁に覆われた展示室の向こうには、初夏の日ざしもまぶしい中庭が。
そこに置かれていたのは、10mの長さにもおよぶ「ホワイト・リムジン・屋台」。これもアトリエ・ワンの作品です。訪れた人が自然と腰をおろし、本を読んだり、メモをとったりし、またふらりと席をたつ。アートによって、ひとつの空間と時間が生まれているのを感じます。

キュレータの佐藤仁美さんによれば、「ギャラリーまるごとが展示室」。
この、ビルとビルの谷間に生まれた、庭石のある中庭をどう使うのか。壁の色はどうするのか。展覧会によって、雰囲気もガラリと変わるそうです。

ギャラリーには中庭と外階段があった


中庭から第2展示室へ至る外階段

階段をあがると、中庭を渡る空中廊下に出ました。先程の、屋台の屋根をのぞきこむような形になります。

一段高いところにあがると、目線も変わって、まわりのビルに囲まれて存在する自分が、浮遊しているよう。

ビルとビルのスキマには、のぞき見るような外苑東通りと、東京ミッドタウン。初めて出会う、乃木坂の風景です。これもまたこのギャラリーの立地条件ならではの“間”なのでしょうか。

第2展示室には、 アトリエ・ワンが手がけた建築の模型が置かれ、熱心に写真を撮る人の姿も見られました。

階段を昇る。中庭の上にわたされた廊下の正面が第2展示室。右下に、中庭に置かれた屋台の屋根が見えている。

この日訪れていた人は、ほとんどがいわゆる一人客。思い思いに、<ギャラリー・間>で過ごし、そして黙って帰っていきます。
建築を学んでいる学生さんも多いようですが、私のような門外漢でも、新鮮な刺激を受けることができました。その証拠に、帰る頃にはアトリエ・ワンのファンになっていたぐらいです。

美術館にしろ、ギャラリーにしろ、展示に知っている名前がないと、意外と素通りしてしまうもの。でも、知らないからこそ、訪れれば訪れるだけ、新しい出会いがあるのだと、今回、再認識しました。

2階展示室。展示スタイルはシンプルだ

いつもと違う場所に身を置くことで得られる、ある種の“癒し”。日常から逃げ込む、あるいは離れる。表現は違っても、都会にあって、そこは自分をリセットできる大切な空間と言えるでしょう。

特に立体的な<ギャラリー・間>には、乃木坂の駅前であることも、仕事のことさえ忘れさせてくれるような居場所の心地よさがあります。

展示ごとにどのように表情を変えるのか、ぜひまたふらりと訪れてみたいと思いました。

ひとつ下の階にはデザイン、建築関係の充実したブックショップも。個性的なポストカードなども見つかります

帰りは一つ下の階にあるBookshop TOTOへ。水まわりの専門書はもちろん、建築やデザイン関連の書籍が充実しています。もちろん、ギャラリー・間で開催された展覧会の作家に関する書籍もあります。本屋さんの少ない乃木坂界隈にあっては、本当に貴重な場所です。
そういえば東京の街歩きを楽しむ人のバイブルでもある『建築MAP東京』は、TOTO出版の編集でしたね。都市(東京)に関する本もバラエティに富んだ品揃えです。

今回は何冊かの本と、ポストカード、そして形の面白さにひかれ、水回りパーツのテンプレートも購入しました。

書店のみの利用ももちろん可能です。

■ギャラリー・間
http://www.toto.co.jp/gallerma/
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
TEL:03-3402-1010
時間:11時~18時(火~木、土)11時~19時〔金)
休館日:月、日、祝、夏期、年末年始、展示替え期間

・2007年6月2日~7月28日「アルヴァロ・シザの建築」展

→お気に入りの本を買ったら、さて喫茶店でひとやすみ・・・

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