彼らがいなかったら、今のJ-POPはなかった、とまで言われるロック・バンド、それが<はっぴいえんど>です。1970年~73年までわずかな活動期間でしたが、現在もトリビュート・アルバムが作られるなど、毎年評価は高まるばかり。都会としての「東京」のイメージが強いバンドでもあります。
それはドラマーであり、作詞を担当していた松本隆(公式サイトは「風待茶房」)の世界に負うところが大きかったのです。
後に、松田聖子の「風立ちぬ」など、数々のヒット曲を生み出すことになる松本隆。彼が紡ぎだした詞は、本当に新鮮でした。気分に、見知らぬ都会が映し出されていたからでしょうか。「暗闇坂」という地名(麻布十番にあります)、都電の音、流れる人波。その歌の中には、確かに「街」がありました。80年代に発表した小説『微熱少年』を<渋谷系>と呼ぶ人もいます。
青山にあった松本隆の生まれた家は、東京オリンピックの時に立ち退きを余儀なくされ、アスファルトになってしまったんだそうです。彼は、そんな東京を「風街」に見立て、「喪失感」にあふれる想いを織り込んでいきました。
実に、東京は何度も何度も壊れてきました。喪失感の結晶が現在の姿…と言えなくもないかもしれません。そうやって街を眺めると、また景色も違った色に見えてくるから不思議です。
今回は、当時、野上眞宏さんが撮影していた貴重な写真を集めた『HAPPY I・II SNAPSHOT Tokyo 1968-1973』の出版を記念したスペシャル写真展。はっぴいえんどの歌を口ずさみながら、当時の東京の匂いへとタイムスリップしてみませんか。
<HAPPY I・II SNAPSHOT DIARY:Tokyo 1968-1973>
●11月18日(月)~30日(土) 10:00~20:00 日曜休
●GALLERY 360°(03-3406-5823 南青山5-1-27)
★写真集のお問い合わせは、「ブルース・インターアクションズ」(03-5465-7820)まで。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。