沖縄の陽光の下で… |
これまで、沖縄をテーマにした展示は、その多くが「琉球王朝」時代を扱ったものでした。今回の沖縄プリズムは、近代において沖縄から誕生した、あるいは誕生しつつある造形芸術を検証しています。
絵画、版画、写真、映画、工芸など様々なジャンルの作家たち34名は沖縄出身の作家と本土の視点から沖縄を見つめる作家たちであり、それぞれの「沖縄」が表現されています。これらの「外の視点」と「内の視点」にはどのような違いがあるのか。そこから発信される創造力を楽しんでみませんか?
展覧会は3部で構成されています。
第1章 1872-1945
異国趣味(エキゾティシズム)と郷愁(ノスタルジア)
菊池契月 《南波照間》 1928年 京都市美術館蔵 |
ところが1920年代から30年代には本土と沖縄の芸術交流が盛んになり、「異国」としての沖縄がクローズアップされてゆきます。同時に、日本からは失われてしまったものが残る沖縄に対する「郷愁」が高まります。
展示されているのは、山本芳翠、冨田溪仙、菊池契月、鳥海青児、藤田嗣治、前田藤四郎、木村伊兵衛、柳宗悦などの作品です。
第2章 1945-1975
「同化」と「異化」のはざま
平良孝七《パイヌカジより 75.11 多良間島》1975年名護市蔵 |
しかし「復帰」は基地問題の解決とならず、本土資本の流入による新たな「日本化」に向き合うこととなります。この時期の沖縄では、沖縄の作家たちとともに本土出身の作家たちが、再度の「同化」に抵抗するように、異質な「沖縄」を捉えています。
この時代の作家は、安次嶺金正、安谷屋正義、安次富長昭、儀間比呂志、岡本太郎、東松照明、平良孝七、森口豁、高嶺剛です。
第3章
「沖縄」の喚起力
第1章、第2章と打って変って、第3章では、あらゆる枠組みを取り払い、より開放的な視点による「沖縄」を表現しています。絵画、映像、工芸といったジャンルにこだわらず多様な視点による沖縄を取り上げています。
それぞれの作家たちが、それぞれの視点、感覚から切り取った沖縄を見つめることで、さらに大きく、さらに豊かに広がる創造の泉としての沖縄を感じていただけることでしょう。
國吉清尚、石川真生、平敷兼七、知花均、宮城明、粟国久直、圓井義典、阪田清子、伊志嶺隆、波多野哲朗、掛川源一郎、比嘉康雄、比嘉豊光、上原美智子、与那覇大智、山城知佳子、照屋勇賢などの作品を展示しています。
山城知佳子《アーサ女》2008年 個人蔵 |
■「沖縄・プリズム 1872-2008」展
~2008年12月21日(日)月曜日休館
(祝日・振替休日は開館し、翌日休館)
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー(1F)
03・5777・8600(ハローダイヤル)
アクセス:東京メトロ東西線 竹橋駅 1b出口
東京国立近代美術館のホームページ