■ 自分のやりたいことが沖縄にあった
福岡から来られた裕子さん(28)は獣医です。といっても、正式な勤務は沖縄が初めて。大学を卒業して、最初は長野県の保健所に勤務されました。食品衛生の監視員や狂犬病予防接種、動物虐待などに取り組んでいたそうです。
獣医の資格をとりながらも、深く考えず、生活安定目的だけで就職したゆう子さん。結果として、保健所を辞めてしまうことになりました。いくつか職を変え、合間にアジア各地を旅したそうです。
アジア的ゴチャゴチャ感を体験するなかで、ゆう子さんは「興味のあることが見付かれば、積極的に取り組みたい」と思うようになりました。
そして、
「今、自分のやりたいことは何だろう?」と考えたとき
答えが獣医だったそうです。そもそも北海道の大学に行ったのも、獣医になりたかったから。
行動的な裕子さんは、自分を獣医として受け入れてくれる事業所を探しました。場所は全くこだわらなかったそうです。しかし、それがなかなか見付からない。諦めず根気よく調べていたところ、ついに昨年、「沖縄」で獣医職の募集を見つけました。
米軍施設内の動物病院が獣医を募集していたのです。早速申し込んだのですが「県民ではない」、つまり前例がないことがネックとなったらしく、採用は見送りとなってしまいました。
その翌年、つまり今年です。県内に獣医が見付からないことから、前年度に応募した裕子さんに、今度は雇う側から声がかかりました。迷わずイエスと答えたゆう子さん。
クルマに荷物を積み込んであわただしく来沖。アパート探しでバタバタし、現在は、やっと落ち着いてきたところです。ベース内の動物病院での勤務にも馴れてきたようです。
彼女の沖縄移住は「初めに沖縄ありき」ではありませんでした。「やりたい」ことが沖縄にあったからにほかなりません。その上で旅行を通して知っていた「沖縄」に魅力を感じていたため、あっさりと移住を決めました。
「今後のことはわかりません。もっと興味のあるものを見つけたら、別の場所に移るかもしれませんし、このまま定住するかも知れません。自然体で生きてみたいから、フットワークだけは常に軽くしておきたいですね」という裕子さん。
ベース内での仕事。しかも専門職。単なる英会話ではなくて高度な専門用語が要求されます。仕事が終わったら自宅で勉強という具合に、多忙な毎日を送る彼女は「まだまだ沖縄暮らしを楽しむゆとりがないんですよ」と言いつつも、獣医としての仕事を楽しんでおられるようでした。