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専門用語で楽しむ「雪まつり」の舞台裏(3ページ目)

今年の冬も『さっぽろ雪まつり』が始まります。ビル5階相当の大雪像がどうつくられているかご存知ですか? 大雪像制作の技と知恵を、現場の専門用語から解説。やっぱり雪まつりってスゴイ!

執筆者:小西 由稀

 

3.仕上げ作業

 
(左)ちょっとわかりにくいですが、ケレン棒で削ってる様子(右)寒冷紗とブルーシートでガードされた雪像。ちなみに、この現場では札幌市消防局のレスキュー隊員が雪像づくりをサポートしています

【ケレン棒】
塗装工事の用語で、塗装前に下地をきれいにする作業を「ケレン」。雪像づくりの現場では、より細かい部分を削る際に使われるのが、前ページ画像に登場したケレン棒。仕上げの削りには、ノミなども使われます。
専門用語や道具を見ていくと、建設業界と非常に縁が深いですね。ここまでの工程も様子も、似てますしね(笑)。

【寒冷紗】
ナイロンなどを網状に粗く織った布のこと。「かんれいしゃ」と読みます。通常は農業用品として遮光、防風、防虫・鳥に使われていますが、ここでは直射日光や降る雪を遮る目的で利用。ブルーシートも同様に、雪像を守っています。

 

4.最終仕上げ作業

 
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▲化粧雪でシャーベをつくる作業。グリーンの容器は、通称・トロ箱

【化粧雪】
土台を削っていくと、雪の中に交じった小石やら木っ端が見える場合があります。より美しい雪像にするため、最終仕上げが必要。女性のメイクと同じですねぇ。そのために特別に選ばれたきれいな雪が「化粧雪」。微粒子配合のファンデーションといったところでしょうか。この化粧雪は、中山峠から運ばれます。「本当にきれいな雪は白くない。薄水色をしてるんですよ」。へぇ~!

【シャーベ貼り】
化粧雪は水を混ぜ、シャーベット状にします。作業を見ていると、水を少しずつ足しては、プラスチックスコップで空気を含ませるように、こねては混ぜを繰り返します。こうすることで、雪像にシャーベ(ット)が貼りつきやすく、夜に気温が下がると表面がきれいになるのだそう。ほぉ~!

【バカ棒】
角材にカンナをかけ、先端を尖らせた棒のこと。ざらついた表面を削り取ったり、細かい表現をする時など、活躍の幅は広い。名前の意味は深く考えないでください。

 
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1月7日に始まった雪像づくりは、このような作業を経て、2月3日に完成と相成ります。駆け足で、それも簡単にまとめただけですが、59回の歴史の中で受け継がれてきた技術と知恵、とてつもないパワーを結集して、雪像づくりに取り組んでいることがおわかりいただけたと思います。

今回取材した大雪像だけで、制作に関わった延べ人・日は約2500人になる見込み。より美しくダイナミックな雪像を楽しんでもらいたい想いで、真冬日の中も作業を続けている団員のみなさん、あとひと息です。がんばってくださいね。

そして、雪まつり会場やテレビで、「3200t分を雪踏みしたのかぁ」とか「このきれいな色は中山峠の化粧雪の色なのね」などなど、制作工程を想像しながら、大通西10丁目会場の大雪像「あっマンモスだ!~チビナックスの北極探検隊~」を見ると、何倍も楽しめると思いますよ。

多くの人を感動させてきた「さっぽろ雪まつり」。舞台裏にも感動しました!

<関連サイト>
さっぽろ雪まつり公式サイト
とことん!雪まつり~さっぽろ雪まつり公式ブログ~(From:札幌100マイル
 おすすめ!雪まつりの魅力や舞台裏を実行委員会スタッフが紹介する期間限定ブログ。読み応えあります。

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