ほんとに喜ばれるお歳暮selection 1/3 ~2/3~3/3
ご飯のお供、お酒のつまみに…
とろり濃厚な味わいの塩イクラ
『塩イクラ』をご存知ですか? イクラと言えば、今や「醤油漬け」が定番ですが、昔は『塩イクラ』が主流でした。醤油漬けは読んで字の如く、鮭の卵を醤油に漬けたもので、日本酒やみりんで味を調える場合もあります。一方の塩漬けは、塩のみで味つけ。ゆえに、卵の鮮度と味つけの技術が、美味しさを左右するのです。
秋真っ盛りの標津に、「ヤマジュウ前川商店」標津工場を訪ねました。塩イクラが評判の加工場です。鮭漁の最盛期とあって、土日もない忙しさ。
塩イクラの加工は、まず鮭から卵=筋子を取り出すところから始まります。前川商店では生きた卵に徹底的にこだわっています。「水揚げ後、鮭の卵は6時間ほど生きているんですよ。ここには前浜の鮭から、遠くても2時間以内に水揚げされた鮭を仕入れています。生きたまま、できる早く仕込むことが大切なんです」と、製造次長の飯作さん。
続いて、手もみと呼ばれる作業で粒をばらし、塩水の中で攪拌しながら卵に味を含ませていきます。「攪拌の時間は卵の状態で変わりますが、10~12分ほど。その見極めは、この道10~40年のテクニシャン(技術者)が判断します。その間、未成熟卵や死に卵を丁寧に取り除くことで、より質の高い製品に仕上がるんです」。
水を切り、ひと晩寝かせた塩イクラを、いただいてみました。皮がぷちっと弾けると、卵の濃厚なコクが、ゼリーのようにトロ~リと広がります。ん~、初めての味わい! これが鮭卵の本来の味わいなんですって。
贅沢にも、前川商店の醤油漬けと食べ比べてみましたが、こちらは醤油の香ばしさが卵を包むような印象。好みは分かれるところですが、濃厚さを楽しむなら、塩イクラに軍配が上がります。魚卵好きの皆さん、この味わいは要チェックですよ。
【DATA】
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