【フィールドカフェ】とは、住所のないレストランのこと。つまり仮設の食空間です。「場所の旬」を楽しみながら味わう「食の旬」という、新しいコンセプトが魅力。
夏なら風に揺れる小麦畑に囲まれて、冬なら刻々と移う雪原(雪の下は畑)を眺めながら…というように、その時その場所でしか楽しめない食の時間を体感できるワケです。広大な風景が広がる北海道だからこそ、似合うスタイルですよね。
■□今回私が行ってきたのは、幕別町に期間限定でオープンした【スノーフィールドカフェ】。
帯広市街から目的地までは、雪景色を眺めながら車で30分前後。「あそこがフィールドカフェですよ」と、指された方向に目をやると、小高い丘の上にカマボコ型のビニールハウスが見えるじゃないですか。「へっ、ココですか?」と私。だって仮設とはいえ、ビニールハウス=レストランなんて、結びつかないもの。それに、寒そうだし…。
でも、一歩中に入って驚きました。そこには、いい意味で想像を裏切るシンプルで素敵なレストランが、広がっているではありませんか?! このギャップが楽しい!
しかも、床暖を入れているのでポカポカ。晴天のランチ時は暑いくらいなのだそう。
ビニールハウスには、ちゃんと窓があるんですよ。ここから眺める、雪原と十勝の山々が本当にキレイ。雪原って真っ白なイメージがあるけれど、天候や時間によって色が違うんですよ。
ほら、夕暮れになると、薄暮の空を映す蒼の時間が訪れます。この色と静けさに、すっかり心を奪われました。
知人は吹雪の日に行ったそうですが、「こんなに風の音を楽しめるレストランは世界にココだけ」と言っていました。店内に静かに流れるヒーリング音楽と風の音とのコラボ、こんな日のフィールドカフェもまた素敵でしょうね。
■□さて肝心のお料理は、完全予約制でフレンチのフルコースを提供。ビニールハウスといえども、厨房機器はプロユースのもの(冬期クローズのホテルから運んできたものだそう)。腕を振るうのは、渡辺雄二シェフ。夏期はこのホテルを厨房を仕切っています。
コース内容はその都度変わるようです。ニンジンのムースにトマトのクリームソースを添えた前菜がとても印象的でした。細やかなところに手間暇を惜しまないシェフの姿勢が、とにかく好印象。渡辺シェフに、次年度のメニュー構想を伺っているだけで垂涎。う~、来シーズンもまた来たいなぁ。
■□空間と環境、食と会話。心が満たされる時間。心が豊かになる、ってこういうことなんでしょうね。「あ~いいなぁ」って素直に思える素敵な体験でした。
このフィールド・カフェは3月末まで営業予定。この体験を、来シーズンに持ち越すのはもったいない! ぜひっ!!
【DATA】フィールドカフェ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。