旬の日本を演出する。
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柚子屋料理長の木村さん。運んできたのは、冬瓜のスープ。 |
「失礼します」。
料理が始まり、板場から一品一品を運んでくるのは、主に男性です。全員、坊主頭。
凛とした雰囲気のなか、あでやかな、旬に彩られた料理が運ばれてきます。
料理は月替わり。初夏には、鱧(はも)、鮎、夏の京野菜あたりがテーマとなります。
お造りのつまにも工夫が施され、氷に乗った刺身を食べ終わると、氷の中には青梅が埋め込まれ、ちょっとした口直しになっています。
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前菜として盛られた、季節の野菜。胡瓜、加茂茄子、じゅん菜、鱧のにこごり、生湯葉、など。とろけるような京都牛に青唐辛子で、少々胃にジャブを与えたあとは、「鍋」。だし汁の中には、湯豆腐。その上にしゃりしゃりの壬生菜を大盛りに乗せ、ビタミンCの補給。そして、今月のコースの四番バッター、「鱧しゃぶ」、です。
鍋はいったん下げられますが、再登場した時には、締めの「柚子雑炊」。柚子の香りが五臓六腑に染み渡ります。
お濃茶に浸された「餡入りわらび餅」を楽しみ終わるとコースは終了。コースの脇役で頼んでいた富乃宝山(芋焼酎)の心地よい酔いもまわり、東山の夜風に吹かれながら、祇園の街へと繰り出すのでした。
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花見小路の小さな隠れ家。豆皿懐石「豆寅」。こんな風情の店を紹介してくれる。柚子屋旅館は、連泊の場合、二泊目の夕食は、市内に十店舗程あるグループ店を紹介してくれます。花見小路で京料理でもよし、町家で食べるイタリアンでもよし。
これまで、旅館は、全国の地元のお客様に向け「京風会席」や「雅な雰囲気」を提供してきたと思います。その本家本元である京都で、今、まったく新しい日本が創作、演出されているのです。
柚子、竈、土間、中庭、回廊、京野菜、・・・。
その方向性は、これまでとまったく逆。その演出とは、顧客層は、戦後に生まれ、都会に住む世代のノスタルジーや、懐かしいにおいを喚起させる、原風景回帰と言えましょう。
柚子屋旅館の演出は、「富士山、芸者、サムライ、が日本の象徴とはさすがにもう思わない外国人」の感性を惹きつけるに足る「日本」なのです。
柚子屋旅館
京都市東山区祇園町八坂神社南隣545
電話 075(533)6369
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