着火剤の主な成分は「メタノール(アルコール)」「灯油」ということは、前ページでお話ししました。これらを主成分とした着火剤が、事故の原因となる最大の要素は、「火が見えにくい」ということ。
その為、火がついているのに着火剤を継ぎ足してしまい、引火爆発事故を起こしてしまっているのです。
言葉ばかりではわかりにくいので、東京消防庁科学技術研究所で行われた実験の様子を見てください。
着火剤による燃焼実験
1:見えない炎
この写真は、着火剤に火を付けたものです。
画質というだけでなく、実際に「炎」はほとんど見えません。
火が見えにくい原因として、「着火剤に火を付けてから時間が経つと、だんだんと黄色い炎に変わっていく」ということがわかっています。
近くで見ていても、陽炎のようなゆらゆらした感じと、ピンク色の着火剤の表面に、黒く焦げたような色が付いているくらいしかわかりません。
2:火がついている事を確認
燃料を染みこませた綿を、先ほどの着火剤の上にかざすと、あっという間に炎に包まれてしまいました。
日差しが強い日は、炎がもっと確認しにくいのではないでしょうか?
実際、こんなに見にくいとは思いませんでした。
3:着火剤を使用して実験
着火剤を継ぎ足した途端、炎が大きくなります。
4:これが、引火爆発です
着火剤を継ぎ足したことにより、炎は大きくなります。そして、手を離すと注入した分だけ容器には空気が入ります。
中身の入っていないペットボトルを、水の中で凹ますと水が入るのと同じです。
わかりにくくて申し訳ありませんが、写真を見ると負圧になった容器に空気と一緒に炎まで入り込んでいるのがわかります。(画像をクリックすると、大きな画像で見ることが出来ます。)
5:着火剤が火炎放射器に!
容器に入った炎は、容器内の蒸発した着火剤に引火して爆発を起こし、爆発によって容器内から燃料ごと吹き出してしまうのです。
この実験でも、「ブバババー」という音をたてながら、
火炎放射器のように、炎と共に着火剤を放射しました。
この場合、本人が火傷するよりも目の前にいる人に向かって火のついた燃料を放射してしまう可能性が高いので、着火剤を使用する際には、近くに人がいないか確認しましょう。
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【着火剤事故】これを守れば大丈夫!対処方法と注意点