NO,3 火災報知器が作動していない?(煙・定温・差動)
4階の火災報知機は故障、もしくは取り外されていたとみて調査中。
3階「一休」では、施工後新たに取り付けられた天井の中に3個設置されていました。この為、通常通りの火災感知が出来なかったのではないかと見られています。
通常、「明星56ビル」位の部屋の広さでは、差動式スポット型感知器が取り付けられます。この感知器は、熱による空気の膨張を利用して感知する報知器ですので、通常通り設置されていれば、間違いなく感知したと思われます。感度としては、手で触っているだけでも感知しますし、寒い日にエアコンをつけ、この感知器に温風があたるようにするだけでも感知します。
一部の情報では、光電式スポット型、もしくはイオン化式スポット型感知器という煙感知器が取り付けられていたというものがありましたので、簡単ですがご説明します。このタイプの感知器は、周囲の空気が一定以上の濃度の煙を含むと「火災」として感知し、作動するものです。煙を感知する「感度」はとても優れており、4m未満の高さであれば、1つの感知器で150m2まで警戒する事が出来ます(感知器の種別が2種の場合)。イオン化式スポット型感知器の場合は、アメリシウム241などの放射線源を使用している為に、取り扱いには注意が必要です。無理に分解したり、不法投棄はしないで下さい。微量ですが、被爆してしまいます。
この他に、連動用感知器という「防火戸」「防火ダンパー」「防火シャッター」「排煙口」「排煙ダンパー」などを、受信機を経由して連動作動させる、3種感知器というものもありますが、このビルに設置されていたかどうかは不明。防火戸が閉まりきらなかったとありましたが、「防火戸」などは、ある一定の温度になると扉を固定している部分が溶けて自動的に防火戸を閉鎖させる「温度ヒューズ」という物が付いています。これは鉄で出来たヒューズで、熱により接着部分が溶けるまでは、防火戸を壁などに固定しています。(接着部分に使用されている物は、電子機器などを取り付ける時に使うハンダのようなものだと考えて頂けると判りやすいかもしれません。)
火災報知器のベルの鳴動が確認されていないという事なので、今回の火災での防火戸の作動は後者の温度ヒューズによるものではないかと思います。せっかく、火災報知器と温度ヒューズという、設備を正常に作動させる2重の安全策が練られていても、今回のように設備の作動範囲に障害物を置いてしまうと、防火対策は何の意味も持ちません。絶対に、消防設備の近辺には、物を置かないでください。