防災/防災関連情報

いざという時の消防設備:排煙口 有毒な煙を吹き飛ばせ!

火災発生時、吸い込むことで死に繋がりかねない『煙』。この煙を排除し、避難経路を確保する為の設備が『排煙口』。しかし、使用できなければ無用の長物。使用方法を知っておこう。

執筆者:荒井 健一


ここでは、法律をどうのこうのというよりも、火災などの災害時に、「避難時に有効な設備があれば、見逃さないで使用できれば!」という事を前提に作成していきます。


火災が発生すると、大量の煙が前に立ちはだかり、新宿のビル火災のように一酸化炭素中毒などの危険が想定されます。火災時は、火よりも燃えた物から発生する有毒な煙のほうが脅威で、煙を吸い込むことにより、生命の危険は格段に高くなります。

そのため、早い段階で煙から身を守らなければならないのですが、火災時の煙の移動はとても早く、火災の熱で空気より軽くなった煙は人が歩くよりも速い、秒速0.5~1mの速さで迫ってきます。そして秒速3~5mで上昇した煙は、全体量が増えればたちまち下まで降りてきて、床を這って避難している人も、煙に巻かれてしまいます。

この煙を、強制的に排除しようという設備が『排煙設備』です(自然排煙方式に関しては、またの機会にご説明します)。設備は、煙を吸い込む排煙口、ダクトなどの風道、押しボタンによる手動起動装置、強制的に吸い上げる排煙機と制御装置で成り立っていますが、これに付随する物として、排煙設備に連動する火災報知機、効率的に防火区画を作るための防火ダンパー、防火戸、防火シャッター、ドアーの開閉を確認する、ドアチェックなどがあります。
通常、排煙口は避難経路に設置され、手動起動装置を操作することで、排煙口を開放し、排煙機が起動するという仕組みになっています。

排煙機は、押しボタンの操作もしくは火災報知機との連動で排煙口を開放すると自動的に作動し、特別避難階段の附室系統と分類される場所では1秒間に4立法メートル以上の空気を排出し、居室部分系統の防炎区画では床面積1立方メートルにつき1立法メートル以上の排気能力をもっています。また、電源を必要とする排煙設備には予備電源を設けることが義務づけられ、高さ31mを超える建築物、もしくは建物の延べ面積が1,000平方メートルを超える地下街の排煙設備の場合、制御・監視共に、中央管視室などの防災センターで行えるように規制されています。(様々な法律があるために、これらの設置面積は一概には言えません。他の設備による警戒で、設置が免除されることもあります。)

これによって、煙の拡散を防ぎ、避難路を確保することが出来、避難の時間をかせぐことが出来るのです。注意して頂きたい事として、この設備はすべての煙を排除するわけでも、消火するわけでもありません。あくまでも時間稼ぎの設備だと思っていただきたいのです。

視界が確保できたら速やかに火災現場から避難してください。

次ページで使用方法を説明します。
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