ブレ防止機能を過信しない
一般的に最も多く聞かれるお悩み相談の一つは、いまひとつピントが合っていない、写真がブレるということ。 |
平山さん:
「写真を撮る時に、感度設定とかしています?」
Tさん:
「いえ、していないです」
平山さん:
「ブレ防止機能が付いているからと、それで安心してしまうことが多いんですよね。暗いシチュエーションであっても、写るような気がしてしまう。そもそも、被写体が動いていなければ15分の1秒くらいでも撮れるんですが、被写体が動いてしまうからブレてしまうんです。少し暗いな、というシチュエーションでは、シャッタースピードが少し速く切れるように感度を上げてやるといいですよ」
ブレ防止機能があるからと安心しないこと。その時の明るさや、被写体(犬)の動く速さなどにも気配りを。 |
Tさん:
「なるほど」
平山さん:
「ここで、手ブレとピンボケの違いを説明しておきましょう。写真を見た時、全体がどこを見てもブレていたら、それは手ブレです。それに対してピンボケは、どこかにシャープな部分、つまりピントが合っているところがあるはずです。どちらかと言うと、手ブレであることの方が多いように思えますね」
Tさん:
「へぇ~」
平山さん:
「脇を締めて、カメラをしっかり持つことでかなり解消されると思いますが、犬の動きに気をとられ過ぎてカメラがブレないようにも気をつけて下さいね。犬の場合、動きがありますから、できるだけブレないように撮るには、スポーツモードを使用すれば大方問題ないでしょう。これは露出の範囲の中で、比較的速くシャッターが切れるように設定してあるモードです」
黒には黒、白には白?
黒い犬はどうしても撮りにくいもの。お悩み相談でも多いケース。 |
平山さん:
「洋服を着ている人間と比較すると、どうしても犬は色彩が限られている分、コントラストが乏しくなるものです。黒い犬の場合は、トーンが下がってしまうことが多いので、彩度を上げてやるといいですね。また、黒くつぶれて目が写らないことがありますが、その場合はストロボを発光することで解消できると思いますよ」
Tさん:
「わかりました」
平山さん:
「それから、よく“黒い犬だから白っぽいものをバックにして撮って欲しい”などと言われることが多いんですが、実は逆なんですよ。黒と白、対象的な色が混在していると、どちらかの色が飛んでしまうんです。黒には黒、白には白とまでは言いませんが、同じようなトーンの色が周りにあった方が実は綺麗に写るんです」
黒い犬を撮るには、似たような系統の色が周りにあった方が綺麗に撮れるそう。(撮影:平山さん/カメラ:Tさん所有) |
Tさん:
「え?そうなんですか?」
平山さん:
「実際に、グレーの車をバックにして撮ってみましょうか」
ついつい逆を考えがちですが、こうしたところにちょっとした秘訣があったんですねぇ。
次ページでは、流し撮りに挑戦。