ストレスに弱いのが玉にキズ
そんなグレート・デンを飼うときの注意点は、とくに精神面での健康管理。デリケートで気苦労の多いデンは精神的なダメージに弱く、外出時に気を遣うことや過剰なストレスを受けたりすると、とたんに軟便になったり下痢をしたりするそうです。
「環境の変化に弱いので、弟分のロックを迎えるときには、ドーンを不安にさせないように気を配りました。たとえば、おやつをあげるときにも必ずドーンから先にあげるとかね。何をするにもドーンが一番と。そうすることで彼は弟分のロックを安心して受け入れ、とてもよく面倒をみるようになりました。だからトイレから我が家の礼儀作法まで、ロックをしつけたのはドーンですね」(野上さん)
また、食事内容についても気配りが重要。野上家では少量のドライフードに骨や内臓までを含めた鶏の生肉をミンチにして、ペースト状にしたお野菜をトッピングしてあげているということでした。
「お肉だけでも1日1キロは食べますから経済的には大変ですよ。それと定期診断の意味で、月に一度は群馬の動物病院に連れていっています」(野上さん)
野上さんによれば、食費、トイレシーツ代、それに病院の費用を含めるとだいたい月平均10万円はかかるとのこと。たとえば同じフィラリアの駆除薬にしてもミニチュアシュナウザーとグレート・デンでは体重比で適量を決めるので、何倍も薬代がかかるわけです。いかに飼いやすい性格とはいえ、やはり誰でも飼えるかというと、答えは「NO!」ですよね。
老夫婦にも飼える心優しい犬
どうです、このド~ンとした風格
ボクってイケてる~?
しかしながら、経済的にゆとりがあり、犬のために多くの時間を割ける人たちにとっては素晴らしいパートナーになるのがグレート・デンという犬種。心優しく、飼い主の心を敏感に読み取る能力にもすぐれていると野上さんは言います。
「とにかくこいつは面白い犬。いつも僕を笑わせてくれます。また、人にも他の犬にも比較的無関心で、散歩のときも決して引っ張ったりしませんからお年寄りで飼われている方も多いです。お台場あたりのペットショップに行くと、老夫婦がデンを連れてこられているのをよく見かけますよ。大人しい反面、飼い主を絶対に守ろうとする気持ちは強い犬ですから、最高の用心棒にもなりますしね」
野上さんの職業柄、ウェアのデザインはホネ!
ドーンと暮らし始めてからは、親子のライフスタイルもガラリと変わったと野上さん。出かけることが多かった娘さんが家にいるようになり、親子の会話もすごく増えたとか。
「昔は娘と出かけることなんてありませんでしたが、最近はみんなして休日には原宿に遊びに行ったりするようになりました。最初はカフェに寄って、それから竹下口のクレープ屋さんに行き、少し歩いて最後はスターバックスで締めくくるというコースなんですけど、ドーンはそれをよく覚えていて、カフェではウィンナー、次はクレープ、最後は冷たい氷をもらえることがわかっているから嬉々としてついて来るんです。自分の欲求が満たされさえすれば満足。争い事やトラブルなんか大嫌いという、ほんとにわかりやすいやつなんですね」(野上さん)
身体はデカイけれど気はやさしく、小さな犬に吠えられても咬まれても怒ったり感情を露わにすることのないグレート・デン。こんな存在感のある大型犬から飼い主として頼りにされたら、もう「たまりません!」よね~。