そのまま放っておくと大変なことになりますよ!

ようは、僧帽弁を支えている腱索(けんさく)という細い糸状の束が、ユルユルになって支えきれなくなり、悪くすると切れてしまうことで起こる病気といえますが、そのタイプには3つの種類があるとのこと。

(1)慢性型---- 腱索が徐々に伸びきって、血液の逆流する量が
         次第に増加する。数年かけて徐々に進行する

(2)急性型---- 腱索が突然プツリと切れて、逆流が一気に
         始まり、肺水腫(肺に水が貯まる)を
         起こして呼吸困難におちいる

(3)慢性からある日突然、急性に変化してしまうタイプ



「3つのタイプのうち、慢性型がもっとも多くて約60%、これに対して急性は10%、慢性から急性に変化するタイプは30%とされています。慢性型で比較的症状が軽いうちに発見されたものについては内科的な薬を服用することで維持が可能ですが、難しいのはやはり急性型と慢性から急性への移行型のケースですね。この場合は突然呼吸困難になったりしますから、内服薬だけの治療では維持が難しくなり、外科的な処置をしなければならなくなることもあります」(金本先生)

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僧帽弁が機能しなくなると心臓内で血液の逆流が起きる

ちなみに、症状の進行度を見る指標は次の4つとのこと。

 クラス1 
聴診すると心雑音が聞こえるが、逆流が少量のため、まったく症状が出ていない状態。この時点で飼い主が気がつくことはまれだが、定期的な健康診断のときに発見されることもある。

 クラス2 
血液の逆流量が少し増えるため、激しい運動をすると疲れやすくなる。レントゲン検査では心陰影がやや肥大して映る。この程度でもまだ飼い主は気がつかないことが多い。

 クラス3 
血液の逆流量が増加するため、疲れやすく咳が出る。レントゲン検査でも中等度の拡大と肺にもうっ血像が見られる。興奮時、失神することもある。この段階での来院がもっとも多い。

 クラス4 
逆流量が重度になるため、安静時でも呼吸が荒く、とくに夜間の咳がひどくなる。レントゲン検査でも重度に拡大し、肺に水腫像が見られるようになる。


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まずは咳をしだしたり、散歩を嫌がるようになったら要注意!

早期発見こそ最高の治療

「夜間に呼吸が苦しくなるのは、犬が寝ようとして身体を横たえると、心臓や肺が低い位置になるため、血液がそこにプールされやくなって負担が増えるからです。逆に日中は、犬が立っていたり座っていたりすることが多いため、血液が心臓や肺より下の位置にプールされることになり、負担が少なくなる。しかしながら、最終的には夜、横になって寝ることができなくなり、ずっとお座りをしたまま、ゼェゼェ言っている状態になってしまう。そんなかわいそうなことになる前に、早期発見、早期治療が欠かせないということですね」(金本先生)

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夜、横になって寝られなくなるなんてトンデモナイ話ですよね!

先生の説明によれば、急性型は10%ということで数は少なく、移行型も最初は慢性型だったわけですから、できるだけ慢性型のうちに見つけて対処するのがベストとのこと。そのためには飼い主さんの日頃からの観察と、動物病院での定期的な聴診がとても大切になります。最近はこの聴診をきちんとやらない獣医さんもいるという話を聞きますが、僧坊弁閉鎖不全症はクラス1の段階でもしっかり聞き取れるそうですから、7歳を過ぎた小型犬の飼い主さんたちは積極的に聴診してもらうことをおすすめします。

先生のお話では「咳が出る」「疲れやすい」「興奮時に意識を失い、一瞬パタリと倒れる」などの目で見える症状のほか、犬の寝る姿勢の変化からも呼吸の度合いを見ることができるとか。

●無症状 ----- 横になって気持ちよさそうに寝ている
●中等度 ----- 伏せの状態で寝るようになる
●重 度 ----- お座りの状態で首を伸ばしたまま寝る


伏せの状態で寝ることが多くなったら、ちょっと黄信号ということですね。

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