本当におすすめしたいのは心のこもった手作り

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「犬と猫のための手作り食」
D.R.ストロンベック著 浦元進訳(光人社)
専門獣医師が書いた手作りの手引き書
最後に先生が語ってくれたのは、手作り食のことでした。
「カリフォルニア大学デービス校付属動物病院では、入院しているペットに与える食事の基本は肉類を主体にした手作り食ですね。それが、最も犬や猫を元気にする食事だからだそうです。ぼくも本当は手作り食が一番だと思います。だから手作りを応援するような商品をもっと増やしていきたいですね。」(浦元先生)
日本の獣医さんたちがこぞってその先進技術を取り入れてきたカリフォルニア大学デービス校では、どうやら手作り食が犬にもっとも適した食事と考えられているようですね。

先生のアドバイスとしては、野菜でも穀物でも基本的につぶすこと。ミルかジューサーミキサーにかけて、消化しやすいペースト状かジュースにしてあげればいいとのこと。基本的には、食性のところで触れた構成表とほぼ内容は同じですね。

●手作り食の基本レシピ
●肉類等 50%以上
(魚や卵類、乳製品などで一部を置き換えてもよい)
●ごはん 40%
(普通の炊いたごはん)
●野菜等 10%
(野菜はやわらかく加熱調理したものか市販の野菜ジュース)
●海草、ごま、酵母、胚芽など栄養補給したいものを少量
●HPサプリ 2%(手作り食用サプリメント)
塩分の少ない天然だし、かつおぶし粉末、昆布の粉末、
乾ししいたけの粉末、減塩しょうゆなどを調味料として
加えてもよい

「ごはんは犬に適した穀類ですね。玄米でもいい。犬は本来、デンプンを消化するのが苦手なんだけど、ごはんのデンプンだけはなぜか100%消化できるんですよ。野菜はネギ類とホウレンソウを避ければなんでもOK。お肉は寄生虫や雑菌の問題があるので、それさえクリアできれば生はとてもいいのですが、HPではいちおう熱処理をしたものをお勧めしています」(浦元先生)

あまり考えすぎずに自由につくること

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 使うのは色とりどりの新鮮な野菜
手作りを始めようとする人が必ず抱くのは、必要な栄養基準を補えないのではないかとの疑問ですが、それについてはどうなんでしょう?

「手作りを始める人やドッグフードをつくりたいという人から受ける質問の多くはこれなんですけど、じつを言うとAAFCO(米国ペットフード検査協会)が出している犬の栄養要求量の数値を、自然にあるものを組み合わせて満たすことは非常に難しいんですよ。
この数値は総合栄養食の基準にもなっていますが、食品成分表にある食品をいろいろ使って犬に必要な栄養素をすべてそろえたレシピをつくろうとすると、ものすごく異常なレシピになってしまう。たとえば牡蠣を3割入れなきゃならないとか…。そんな不自然なものを毎日食べないと駄目なのかと。そんなレシピ変じゃないですか」(浦元先生)

牡蠣が補っているのは亜鉛だそうですが、かつて犬の栄養学を研究した米国科学アカデミー(NRC)が食事中のカルシウムが多すぎると犬には亜鉛の欠乏症が起こることを指摘したデータを出したため、以来それを一定量入れることが通例になってしまったようです。しかしながら、先生の意見ではNRCが最初に出した亜鉛の必要量とくらべても「AAFCOの基準は高すぎる」そうです。

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 海産物やゴマも素晴らしい材料
「あくまでもぼくの推論ですけど、亜鉛とカルシウムは同じ二価イオンでこれは身体の中で競合するものなんです。二価イオン同士のバランスが身体の中である割合を保ってこそ健康が保たれるんですね。ところがドッグフードに多く使われる肉骨粉にはものすごくカルシウムが含まれている。
カルシウムが多すぎると、二価イオンのバランスが崩れて亜鉛欠乏が起こる。なので亜鉛をうんと補う必要があったと。つまりAAFCOの基準は、肉骨粉を大量に使うために設定されたものなのではないかと思うんですね」(浦元先生)



ある整形外科の先生が言われていたことですが、大型犬の股関節形成不全は幼齢期のカルシウム過多の食事が原因といわれているそうです。浦元先生の話では、カルシウムは少なすぎても多すぎても駄目で、ある一定の範囲内で与える必要があるとのこと。また、カルシウムとリンのバランスも重要(1:1から2:1の範囲内)なので、これらを適切な比率で配合した手作り食用のサプリメントをつくって、勧めておられるそうです。

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考えすぎずに自由につくればいい
「あとは、あまり考えすぎないで自由につくればいいんじゃないですか。みなさん、一回の食事ですべての栄養素を盛り込もうと思いがちですが、その発想自体が無茶ですよね。宇宙食じゃあるまいし、食というのはそんなものじゃない。ビタミンやミネラルは体内にある程度蓄積されていて、2~3週間全然摂らなくても欠乏症なんか出ません。人間だって、毎日いろんなものを食べて1週間、1カ月という単位の中で栄養バランスを取っているわけですから。

みなさん、ワンちゃんにおやつとか他の食べ物をあげるでしょ? それがけっこう欠乏値を満たしていたりするんです。だから人間と一緒の食生活をしていればそんな心配はないんですよ」(浦元先生)

本当の意味で、真剣に犬の健康によい食事を考え、それを実践的につくり出している浦元先生。栄養学を極めた獣医さんならではのご意見をたくさんお聞きし、とても晴れやかな気分になりました! どうしてここまでの情熱をかけられるのかとお尋ねしたところ、「それが犬や猫の幸せにつながるはずだから」との答え。日々の飼い主さんたちとのやりとりは大変だけれども、切磋琢磨にも勉強にもなるという先生の顔は、とても幸せそうに見えました。

「ほりんふ」の公式HP

「健康的な食事・フード選び」のサイト集



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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。