世界の犬窓から---ドイツ編
不定期シリーズ「世界の犬窓から」、今号はドイツ編です。
ドイツといえば世界有数のペット先進国。人気の犬種ダックスフンド、ミニチュアシュナウザーの生まれ故郷でもあります。
わたしのドイツ旅行は1983年、95年、そしてアッシュと行った99年の3回。最初の83年は結婚したばかりで、まだまだ犬と暮らすことなど頭になかった時代ですが、95年にはすでにアッシュがいましたから、向こうに行っても犬を見かけたらすぐにカメラのシャッターを切り、飼い主さんがいれば話しかけるということをやっていました。そんな観察記を思いつくままに綴ってみたいと思います。
マルクト広場に遊ぶノーリードの犬たち
95年の旅は、フランクフルト→古城街道→黒い森→チュービンゲン→ウルム→ボーデン湖→アルペン街道→インスブルック(スイス)とドイツを縦に走破するものでしたが、あちこちの町で気ままに暮らす犬たちに出会いました。びっくりしたのは、黒い森にほど近いアンマー渓谷とネッカー渓谷に挟まれた中世の町・チュービンゲンで見かけた犬たち。土地っ子から「居心地のよい部屋」と呼ばれ親しまれているマルクト広場には、日中からヒマそうな大学生やフリーター風の若者がたむろしているのですが、彼らは周辺にいる犬に棒きれを投げて遊んでやっているのです。
犬たちはマリノワ(ベルジアンシェパード)に似たミックス犬やテリア系のミックス犬がいて、みんな投げられた棒きれを追いかけて、人通りなど気にする様子もなく走りまわっています。わたしはかまってほしくて何度も声をかけるのですが、棒遊びに必死で見向きもしてくれません。
こんな子たちが自由に町を闊歩している |
ボクにはこれぐらいの長さがピッタリ |
ドナウ川沿いの散歩道を歩く
続いて母なるドナウ川が町の中央を貫くウルムでの話。この町は、南ドイツ・バロック街道の重要な拠点でもあり、かのアインシュタイン博士が生まれた町としても有名です。15世紀に建てられた城壁とドナウ川との間にある長い散歩道を歩いていると、犬連れでのんびり歩いている老夫婦や学生風の女の子にたくさん会いました。見るとここでも多くの犬がノーリード! しかし犬たちはみんな、すれ違いざまに鼻を付け合わせて軽いごあいさつを交わすだけで、じつになごやかな雰囲気です。犬はやはりシェパードやセッターなどの大型犬が多かったですが、ウエスティやミニチュアピンシャーのような小型犬もいました。
大型犬どうしが鉢合わせ、でも 何も起こりません |
今の日本では、ドッグラン以外でのノーリードは絶対禁止。大きな公園などでノーリードで遊ばせている人もいますが、これはマナー違反ですよね。まあ今の時点ではまだ、飼い主の方が世間に遠慮して暮らしている状態。わたしたちの方がマイノリティーで、動物嫌いやアレルギーの人たちもいますから当然といえば当然なのですが、ここウルムのようなおおらかな共生社会がいつになったら実現するのか(それとも永遠にしないのか)考えてしまいました。
(06年3月2日、鳥インフルエンザに感染死した猫が見つかった関係で、ドイツ当局は感染の恐れのある地域では犬にリードをつけることという通達を出しましたが、こうした事態は異例中の異例。早く危機が去ってほしいものです)
町で見かけた路上ハープ奏者 |