ボタンひとつで犬を買い、あとでトラブルに
今年の6月に改正動物愛護管理法が成立し、動物取扱業へのきびしい規制が盛り込まれる結果となりました。問題は今後、これをどう運用していくかということですが、そのあたりを(社)日本動物福祉協会の山口千津子さんに話をうかがいました。ブリーダー探しの手段としてネットを使うことには何の問題もないが、その使い方には十分気をつけてほしい、と山口さん。たしかに、HPにアップされている写真をふくむ情報がホントであるとの保障はどこにもない。何でもHPにあったからということで鵜呑みにしてしまうのは危険といえるかもしれません。
「入り口はネットでもいいんですけど、一度は犬舎を訪ねて母犬や子犬たちを見せてもらい、ブリーダーさんとお話をしてください。子犬だって、性格のきつい子、穏やかな子、警戒心の強い子、誰にでもフレンドリーな子、とみんな違う。よく観察して自分に合った子を選ぶのは、とても楽しいことだと思いますよ」(山口さん)
病気になるのが当たり前? ペット繁殖・流通の仕組み
ワクチンなどで予防さえしっかりやっておけば防げるはずのものも多いようです。これって、どういうことなんでしょうね?
「ここが日本の最大の問題なんですけど、繁殖者---あえてブリーダーという言葉は使いたくない---たちがいかにいい加減な繁殖をしているかというのがひとつ。いま流行の犬種をブームが終わらないうちに急いでつくれということで、遺伝性疾患のチェックもせず、はじめての発情でも発情の度ごとにでも交配に使って子犬を産出してしまうんです。だから病気がちな子たちがどんどん生まれる。次に、若くてかわいい幼齢の子犬じゃないと店頭で売れないからと早めの出荷を急かす仲介業や小売店がいる。それでわずか3~4週齢の子犬たちが競り市にかけられる。競り市って、最近はオークションなんて言い方を変えてますけど、どんなところだか知ってます?」(山口さん)
山口さんは「まだよちよち歩きの子犬にとって、あんなにストレスのかかる場所はない」と言われています。また、3~4週齢といえばまだワクチンも接種できない時期、パルボやジステンパーの子が紛れ込んだら一気に感染が広がってしまう。そんなリスクもあるそうです。
「それと、犬舎からそこまでどうやって運ばれてくるか? 繁殖業者のトラックや配送業者のクルマで揺られてくるんです。そんなストレスのかかる中で、ほんとに健康な犬たちが取引されていると言われても信じられませんよね」(山口さん)
その結果が、先に示した相談内容に反映されているということでしょう。