いつか世界大会を見てみたい
そしてついに上級者の部へ。このクラスになると、人も犬も顔つきが違います。自信の現れというのでしょうか、どこか悠々たるものがあります。出番待ちの犬はみんな泰然自若としていますし、人間のほうもショーマンシップたっぷりに見得を切ったりします。
とりわけチャンピオンクラスの犬などは、余裕があるのか、こまかい失敗にもまったく動じません。そして決めるところはバッチリ決める。音楽にも乗っていて、まるでダンスさながらの動きです。これは楽しいッ! いつか世界大会を見てみたいという、抑えがたい欲求さえ湧き起こってきました。
午後の部も進んで夕方になると、いわゆる遠投の競技「ディスタンス」(スロー&フィッチ・レトリーブのこと)の部に入り、遠くに投げたディスクをいかに正確に早くキャッチして持ち帰るかが競われました。N.P.Aでは、これと先のフリースタイルとの総合得点でランキングが決まり、その上位者どうしで最後の決勝ラウンドが争われます。
わたしは個人的にフリースタイルのほうが断然おもしろかったですが、「スロー&フィッチ・レトリーブ」がつまらないというのではありません。こちらはこちらでかなりエキサイトしました。絶対無理と思われる飛距離のディスクにアッという間に追いついてキャッチする犬の瞬発力のすごさ、奇跡的な運動能力にため息が出てしまいます。そしてドッグショーとの決定的な違いは、どんなチームにも惜しみなく拍手を送りたくなるということ。ドッグショーでは自分の知っている犬や応援する根拠のある犬にしかときめかないものですが、ディスクドッグではどんなに下手でも思わず「頑張れ、頑張れ!」と声が出てしまうんですね。それって、とてもいいことだと思いますし、飽きるということがありません。
犬のしつけもできるディスクドッグ
「これって初心者でも、犬種や犬の年齢に関係なく出てもいいんですか?」との問いに、
「もちろん、オープンクラスというのがありますから申し込みさえいただければいつでも歓迎しますよ」(茜さん)とのことでしたが、そうは言ってもまったくの素人がいきなり出場するのは無理。そのためにN.P.Aでは、セミナーや強化キャンプ、個人レッスンなどを随時開いていて、初心者に広く門戸を開放しているそうです。
「参加は誰でも大歓迎ですが、犬に教え込むということじゃなく、自分も犬と一緒に学びながら上達していくという気持ちがないとなかなかうまくはなりません。人も犬も上級者になってくると、お互いにアイコンタクトだけで次に何をするかがわかってきます。変な話ですけど、そうなるとしつけのハウツウ本に書いてあることなんか、みんなすぐにできるようになっちゃいますよ」(朱音さん)
犬と一緒にスポーツをしながらしつけも行う。ちょっと素敵なトレーニング方法かもしれませんね。つぎに犬を飼う日が来たら、ディスクドッグにはまってみるのもいいなと思うわたしでした。世界大会出場枠を争うN.P.Aの最後の大会「SUPER FINAL」は12月、こちらもぜひレポートしてみたいと思います。
■The N.P.A
http://www1.neweb.ne.jp/wa/the-npa/f_top.html
●ディスクドッグのその他の団体は↓
ジャパンディスクドッグクラブ(JDDC)
ジャパンディスクドッグナショナルシリーズ(JDDN)
日本フリスビードッグ協会 (JFA)
ナショナル ディスクドッグ アソシェイション(N.D.A)
上記およびその他各団体、サークルのイベントスケジュール