犬と人との競演って素晴らしい
ディスクドッグといえば、ディスクを遠くに投げて犬が走っていってそれをキャッチするという「スロー&フィッチ・レトリーブ」(TFR)のことと思いこんでおられる人も多いのではないでしょうか? かくいうわたしも、恥ずかしながらそんな素人のひとりでした。そこで今回、The N.P.A事務局の村上さんにお願いして、一度解説付きでディスクドッグの大会を見学させていただくことにしました。
ディスクドッグの大会を開いている団体は日本に6つあり、N.P.Aもその中のひとつですが、ここはディスクドッグの世界的な組織である「AWI(アシュレイ・ウイペット・インビテーショナル)」の世界大会に向けて日本代表を選ぶことを目標に、年間4つの大会を運営している団体だそうです。
4月の大会は10日の日曜日。千葉のポートパークにある芝生の広場には、100組を超す参加者たちが全国から集まり、スピーカーから流れる好みの楽曲に合わせてパフォーマンスの真っ最中でした。どうやらこれはフリースタイルと呼ばれる競技のようです。
The N.P.A事務局の村上朱音さんに話を聞きました。
「午前中は、まだ初・中級クラスの選手たちの部です。レベルは自己申告制で、好きなクラスに出ていいことになっています。日本ではディスクを遠くに投げてキャッチする、スロー&フィッチ・レトリーブを中心に行っているところが多いんですが、N.P.Aではフリースタイルを中心にやってます。アメリカではやはりフリースタイルが主なので、うちはアメリカ流ということですね」(朱音さん)
ディビジョン1のフリースタイルは、持ち時間が120秒(ディビジョンは3まであり持ち時間が変わる)。2分間に5~10枚のディスクを使って、犬と人間とがいろんなパフォーマンスを繰り広げます。
その動きは、足の下をくぐらせて向こう側に投げたディスクをキャッチさせたり、腰をかがめて犬に跳び越えさせてキャッチさせたり、ひざまづいて次から次へとディスクを繰り出し、くわえては放すという動作をさせたり、わざと縦回転させたディスクを投げて難しいキャッチをさせたり……見ているこちらが疲れてしまうほどスピーディな競技です。これがなかなか決まらない。犬にしてみれば、キャッチしたらすぐにディスクを放し、すぐに次のキャッチに移らなければなりません。
人間のほうだって、犬がいまどんな状態にあるか、次の動作に移ってよいかを瞬時に見きわめながら、できるだけキャッチしやすい場所にディスクを投げていきます。とても一朝一夕でできるようになるとは思えませんね。
「午後からはベテラン勢が出てきますから楽しみにしててください。きょうはちょっと風が強くて失敗する人が多いけど、ベテランたちの中には日本チャンピオンのチームもいて、高度な技を披露してくれますよ」(朱音さん)