わたしたちには馴染みのない「ボニタツェ」とは何なのか聞いたところ、これは成犬となったとき繁殖をしてよい犬かどうかの検査であり、クリサジークとしての個体の短所と長所を知るための成犬検査だとか。アメリカで行われているOFA検査に近いものでしょうか。
チェコでは繁殖を希望する犬は1歳~1歳半の間に必ずこれを受け、合格しなければなりません。合格した犬の血統書は日本支部を経てチェコのクラブに送られ、そこで合格の印を入れたのち飼い主に返却されます。血統書に合格の印がある犬だけが繁殖を許されるわけです。
今回登場してくれたファニーちゃんも昨年秋に行われたボニタツェで無事合格。近い将来二世誕生の嬉しいお知らせが届くかもしれませんね。もちろんこの検査は繁殖しない犬でも個体の長所、短所を知るため受けることができます。結果は血統書に記載されるとともに会報に掲載され、クラブにも保存されます。
ファニー「zzz…」(左)
クリサジークを飼うときの注意点は、活発的なのに超小型で足が細い体型なので骨折などの事故が起こりやすいこと。また、フレンドリーで子どもやほかの動物とも仲よくできる反面、敵と見なしたものや大型犬などの向かっていく勇敢さが裏目に出ることもあるとか。
さらに、超小型だからと運動を怠ったりすると、筋肉が弱ったりホルモンの調子を崩したりして虚弱体質になる場合もあるそうです。人が一緒にいないと寂しくて寂しくてという犬なので、一緒に遊んだり一緒にどこかへ行くことを心がけるのがよいようです。
いっぽう貴族が飼っていた犬ですから、短毛で寒さには弱い。寒い時期はウェアを着せるとか暖房を欠かさないとか、あたたかく過ごせる環境をつくる必要があります。
●クリサジークから日本のブリーディングが変わる?!
プラシュスキー・クリサジークはまだ日本にほんの30数頭という希少犬です。そしてそれはある意味、理想的な血統管理・繁殖計画を立てるにあたってもっとも適した環境にあるということはすでに書きました。
これは毎年何万頭という純血種が登録される人気犬種とは違い、一度の出産で誕生する子犬の数が少ないクリサジークは、クラブのきびしい目やチェックがしやすいということだと思います。
ですからそこにはまだまだ「繁殖業者→競り市→ペットショップ」へという歪んだ流通構造に組み込まれないで済む可能性があり、飼い主がじっくり研究して、ブリーダーからも話を聞いて納得してから飼うという、新しい「一般通念」(ペット先進国ではすでに常識)が広まっていくことも考えられます。だからこそ、じっくりその芽を見つめ続けていきたいと思っていますし、その成果はきっと、世界中の日本に対する評価となって返ってくることでしょう。
ところでプラシュスキー・クリサジークとは、チェコ語で「プラハの小さなネズミ捕り」の意味。ネズミ捕りというだけあってとにかく写真を撮ろうとしても敏速な動きにシャッターチャンスを逃すこと、逃すこと。ファニーちゃんグリシュウコくんの活発で鋭敏な動きをみなさんにお目にかけたいと撮り続けたにもかかわらず、シャッターを切った瞬間、ファインダーにはもう彼らの姿は「いない」「誰も写ってな~い」状態。これまでいろいろな犬種に出会いましたがこれほど動きの早い犬ははじめてでしたね~♪
次回お目にかかるときは家族が増えてるかな~?
■「プラシュスキー・クリサジーク・クラブ・オブ・ジャパン(PKJ)」
■「ファニーとグリシュコのページ」