1月26日の朝日新聞の「天声人語」は、先日の雪印食品の表示すり替え事件に ついてふれ、こんなことが書かれていました。
「輸入肉を高級和牛にされても見逃すかもしれない。賞味期限だって 表示の日付を変えればすむことだ。つい疑心暗鬼が深まる。これは現代風の 錬金術かもしれない。中身はそのままだが、表示を変えるだけで価値が 何倍にもなったりする」
きびしい規制のもとに置かれている人間の食べ物でさえこんな有様なのに、 何の規制もないドッグフードは大丈夫なの?と不安になってしまいます。
そんな折も折、『暮らしの手帖』96号が出ました。タイトルは「ドッグフードを考える」というものですが、これがなかなかすごい内容になっています。その一部をご紹介しましょう。
「現在ドッグフードにはなんの規制もありません。一応業界の申し合わせで 内容の『表示』もされていますが、人間の食べ物とはちがい、すべての原材料 を表示する義務はありません。また書いてある言葉のわかりにくいこと。
鶏肉副産物とは何のことかおわかりになりますか?
頭、足、内臓のことです。
さらに、ほとんどのフードは、真夏、常温の室内に出しっぱなしにしておいても、腐らないどころか、カビひとつ生えません。(中略) 酸化防止剤のおかげで、ドッグフードは腐らないのですが、どういうものを 使っているのか、きちんと表示するのがメーカーの責任だと私たちは考えます。
腐敗をとめるのは、自然に反する働きです。法律に決まっているかいないかは 問題ではない、消費者の疑問に、それが自分にとって不都合な情報でも、 誠意をもって応えることができないメーカーは、今後存続してほしくない。 この原則は、すべての製造業にあてはまるはずです。」
しかも、いくつかのフードには、アメリカで認められているエトキシキンの 使用量基準の15~37倍もの量が使われていることがわかりました。
(くわしくは『暮らしの手帖』をご覧ください)
ただしこの分析では「酸化値」が調べられてませんが、くわしい人に聞くと、エトキシキンを使用していてもいったん酸化してしまえば検出できなくなる ということがあるそうで、「検出されないということは酸化が進んでいる」 ということかもしれないとのこと。そして、もし酸化していれば、それは 添加物の危険性の比ではないとも言われました。
記事はこう結んでいます。
「私たちが酸化防止剤を問題にしたのは、犬の健康に害があるからではありません。『害』がないなら何が入っていようとかまわないというメーカーの姿勢です。使ったものは使ったと表示するのが、メーカーとしての義務ですし、 私たち(消費者)もそれを知った上で、選びたいのです。」
『暮らしの手帖』には、「合成保存料無添加」「自然食」と書かれていたり、「防腐剤は使用していません」と書かれているフードの袋を実名で出され、 はっきりとその非が追求されています。
これはちょっとスゴイ記事ですよねー。ここまでハッキリと書ききった ものはなかなかない。『暮らしの手帖』さん、やってくれましたねって感じ。
そんなタイミングのなか、1月26日の朝日新聞の「くらし」欄にはこんな 記事も載りました。タイトルは「店で始まる脱添加物」というもので、 スーパーやコンビニが自主的に保存料などの添加物を使った商品の販売を 取りやめているという内容です。たとえば生協では、国の評価とは別に、 独自に食品添加物の使用基準を設けているそうで、防かび剤など20種類と 天然添加物の酸化防止剤・ノルジヒドログアヤレチック酸の計21種類を 「不使用品目」にしたとのこと。生協は、「毒性の指摘されるものは販売 しない。毒性があっても消費者に利益をもたらすと考えられるものについては、必要最小限の使用にするようメーカーに求めていく」方針だそうです。 食を提供して利益を得ているメーカーさんは、自分たちが日本人の、 そして大切なペットたちの健康をあずかっているんだという自覚を持って、 よい製品をつくりそれを正しい形で提供してほしいものだと思います。
ぜひ、お願いします!!!
◆暮らしの手帖社のHP
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/
◆ドッグフードに関するサイト集