離婚/離婚関連情報

いくら収入があれば離婚しても生活できる?(2ページ目)

離婚を考えるなら、その先にある離婚後の生活について、しっかりと見通しを立てていくことが大事です。離婚したはいいけれど、さて生活できない。どうしよう?では遅いのです。離婚も計画的に実行を!

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド


児童扶養手当と養育費

母
ひとりで子どもを育てながら何とかやっていけるかな……
ここで注意点をお伝えしておきましょう。まず、児童扶養手当ですが、¥41,720という金額は満額の場合です。前年度の所得によって10円きざみの段階式に手当の額は決まるわけですが、専業主婦などで前年度、収入がない場合、「当然満額もらえるわよね」と試算してしまいます。が、所得制限があり、この所得には養育費も入ります。ですから、養育費が多いと児童扶養手当はもらえない場合もありますので、注意が必要です。

国民年金保険料免除制度

非正社員で働く場合、国民年金保険料を月額¥13,860納付する義務があります。しかし、支払いが困難な場合は免除の手続きがとれます。免除には4段階あり、全額免除の場合年金額の1/3を国が負担してくれます。また10年以内につき後から納めることができます。10年を超えてしまうと一旦追納はできなくなりますが、60歳になるとまた追納ができます。

非正社員で児童扶養手当を満額受給できるのであれば、全額免除の申請をすれば承認されます。将来老齢基礎年金を受給できる65歳になった時、40年間すべての月の保険料を納めた場合で年額¥792,100という満額が受給できます。

ところが、25年間保険料を納め(老齢基礎年金は25年以上納めていないと受給できません)、15年間は免除だった場合年額¥574,300、更に25年間保険料を納め15年間は未納だった場合、年額¥495,100と大きく変わってきます。まだ20~30代のうちは、「そんな先の話、考えられないわ。今はとにかく食べていくのに必死だから免除はありがたい。それに年金受給年齢の65歳まで生きているかどうかなんてわからないし」などと言う母子家庭の母親もいます。しかし、そうやって必死で生活していると10~20年なんてあっという間。

40歳を過ぎると介護保険料の納付書も届くようになり、ハッとします。このまま行けば65歳でまだ生きている自分も想像に難くないと。満額支給でもあんなに少ないのだから、年金なんてどっちにしてもあてにならないと思っていたのが、¥574,300と¥792,100の差は大きいわ、と考えるようになるかも知れません。50代にもなれば、もっとリアルな60代の生活を思い描くことは可能です。ですから、安易に免除制度に甘え続けるのも良し悪しであり、余裕が少しでもできたら、しっかり納付すべきでしょう。

就学援助制度

就学援助について。こちらも児童扶養手当受給者であれば申請することができ承認されます。今、給食費未納が問題となっていますが、この手続きをすれば、給食費は自治体が学校に直接振り込んでくれるか、一旦保護者が負担して別途支給されます。他に学用品年間¥10,000強、宿泊学習費等実費が助成されます。

公立高校の授業料免除や奨学金制度

それから公立高校の授業料免除制度もありますし、奨学金制度などはいろいろ種類があります。お住まいの自治体や学校に問い合わせてみることをオススメします。低所得のひとり親家庭には、子どもが高校、大学という時期が最も厳しいでしょう。子どものためにがんばっているお父さん、お母さんは本当に立派ですが、身体を壊してしまっては大変なので、後から「そんな制度があったの? 知らなかったー。少しでもラクできたのに」ではなく、よく調べて利用できるものは利用した方がよいでしょう。

医療費助成制度

最後に医療費助成について。こちらも各自治体で実施している制度です。一旦負担して後から返還してくれる自治体と、証書を見せるか申請書を記入して提出し、一切負担なしで医療を受けることができる自治体とがあります。

上に挙げた以外にもさまざまな公的援助はあります。しかし、どの道最低限必要な生活費を上回る収入が確保できなければ、生活は成り立ちません。どうしても家賃分足りないというのなら、実家に帰ることを考える、すぐに入居できる公営住宅はないか問い合わせてみる―。情報収集は離婚後のよりよい生活のためには欠かせません。各自治体によってもサーヴィスは全然違います。特に保育、ファミリーサポート関連は手厚い自治体とそうでないと自治体と差が大きいようです。こういったことまで踏まえた上で、離婚後の生活についてよくよく考えてから決断した方がよいですね! がんばりましょうね。

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