厳しくなる入学者制限
18才人口の激減に備え、各大学は様々な大学改革を推進している。その一つが、新しい学部学科の開設、既存学部学科の改編である。そうすることで、実際に志願者は増加する傾向にある。ところが、志願者が増加したからといって多く合格者を出してくれるわけではない。むしろ、文部科学省の規定によりより厳しく入学者を制限せざるを得ない現状にあることがおわかりいただけただろう。
たとえば慶應義塾大では、2007年度で文学部では580人の定員に対して、受験者総数4309名。うち合格者は906名で、補欠合格者が383名だった。つまり約2倍の合格者を出していることがわかる。たとえ慶應義塾大に合格しても、東大に合格すれば東大に行くだろう。このように実際どの程度の入学者があるかを「歩留率」と受験業界では呼んでいる。歩留率を読み間違えると、大変なことになる。よって少なめに合格者を出して、補欠合格者で調整していることがわかる。
今後数年間で新設学部を開設予定の大学は、それだけ入学者を制限する可能性があるということがわかる。特に次年度に控えている場合、開設認可の取り消しという厳しい処置になる。受験を考えている時には、その事実を踏まえて、受験を考えた方がいいということがわかる。
2009年度以降新設学部学科を開設予定の大学
2010年度以降の情報についてはまだ確定していないものが多い。情報が分かり次第また別な機会に解説する。■首都圏
・法政大 スポーツ健康学部
・青山学院大 教育人間科学部
・東洋大 総合情報学部総合情報学科
・国学院大 人間開発学部
■関西圏
・同志社大 心理学部
・関西大 外国語学部
・関西学院大 理工学部に数理科学科、人間システム工学科
・甲南大 フロンティアサイエンス学部生命化学科
・京都産業大 法学部に法政策学科
各大学は生き残りをかけて大学改革を行っている。2010年からは、文部科学省は今まで認可していなかった各大学間での共同学部学科の設置を認可予定だという。さらに大きな大学間での再編成が起こりそうだ。
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